美術館大学構想

(※画像をクリックすると拡大画面で見られます)
■写真上:7月7日に、『ギャラリー絵遊』+『蔵大マス』の庭で開催された、『I'm here. 2006』のレセプションパーティーの幕開けです。写真は乾杯の様子。左から松本哲男学長、ギャラリー絵遊オーナーの駒谷氏、そして、フライヤー17,000枚分の印刷用紙を無償提供していただいた田宮印刷株式会社の工藤社長。祝杯は工藤社長から差し入れていただいた高級ジャンパンで景気良く。

■写真中上:『Link』プロデュースのベーグルパーティーに、強力助っ人として参加していただいたCafe Espressoの高橋昌平マスター(左)。高橋さんからベーグルにチーズを挟んでもらっているのは、『ぎゃるり葦』オーナーの土井忠夫さん。今回は後藤+池谷+阿部の洋画出身のペインター3人組がお世話になりました。『I'm here.2007』で、もっともパワフルだったのは、間違いなくこのお2人でした。

■写真中下:芸工大の在学生・卒業生にとって何でも相談できる「お母さん」的存在の大学職員の方々。手前左から学生課の小林さん、原田さん。中央奥は図書館の谷川さん。この日はパーティーの仕込みに主婦パワーを発揮しつつ、大勢集まった卒業生たちと久しぶりの再会を喜び、そして『Link』プロデュースのオリジナルベーグルサンドを頬張る。息子の手料理を味わう気分?

■写真下:梅雨の奇跡的な晴れ間。夕方からスタートしたパーティーは、真っ暗になっても立ち去り難く、結局夜の9時過ぎまで続きました。参加者は300名を超えました。
(撮影:加藤芳彦)
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正直に告白すると、昨年の暮れに、今年の『I'm here.』の開催日時を決めた段階では、頭の中から「日本の梅雨」の存在がすっかり抜け落ちていたのです。
『ギャラリー絵遊』さんの手入れの行きとどいた庭を見た時、「これだ!」と直感的にひらめいたガーデンパーティーのアイデアでしたが、日時をフライヤーに刷り込み、卒業生約4,000人に送付し、いよいよその詳細を詰めていこうとしたところで、山形市内の雲行きが連日おかしくなり、地元出身の職員から「山形の七夕は晴れたことがない」と困惑げに聞かされ…た時すでに遅し。

パーティーのプロデュースをお願いした『Link』のメンバーと、ハラハラしながらyahoo!の天気欄をチェックする日が続いたのですが、あえて雨天の代替え案はなし! と背水の陣で準備を進めたところ、関係者の日頃のおこないが宜しいのか(?)ずっと雨続きの『I'm here.』展の会期中、不思議とパーティーと翌日のトークイベントは天気に恵まれました。

18:30パーティー開始の30分前から、続々と卒業生+在校生が集まり、松本学長の豪快なシャンパンオープンが、夕方の空にコルクの弧を描き、パーティーの幕開けを告げると、『Link』が用意した250食分のベーグルは次々と無くなっていきました。(なかには4つ食べた学生も!)

この日のために、『Link』メンバーが考案したオリジナルベーグルは、地元で人気のベーカリー『シャルマン』に焼いてもらった品で、生地に山形の「だだちゃ豆」「山ぶどう原液」「県産トマト」を練り込んだ特別なもの。
ボランティアスタッフの女子学生が、包丁とまな板持参で集まり、お昼過ぎから2/1スライスし続けたベーグルに、参加者がおのおのテーブルに並べられた食材をサンドして食べるという趣向。パーティーのコンセプトをオリジナルスタンプに仕立てて捺した紙に、色とりどりのベーグルに挟んで食材を乗せれば、無駄な食器やカトラリーは使わなくていいというエコなパーティーなのでした。

大きなテーブルに所狭しと並べられた各種の具材は、これまた山形産にこだわり、ギャラリーのすぐ隣にある『佐藤牛肉店』からは「米沢牛コロッケ」(※写真上の看板に注目)や特選サラミをフューチャーし、通り沿いにある豆腐店からは「豆腐ハンバーグ」をセレクト(「塩気と効かせて」と特別オーダー)。これらは余計な包装をせず、お店からトレイごとドサッと届きました。

この他、『Cafe Espresso』高橋マスター手づくりのサクランボのジャムや、本格チーズ、県産の瑞々しい野菜たちが、『Link』メンバーデザインによる有田焼の皿にレイアウトされます。
ドリンクも、大学内ではないので堂々とお酒が並びます。高畠のスパークリングワインに出羽桜の吟醸酒。アルコールNGの未成年には、県産フルーツの濃厚なジュースが振舞われました。

様々な「味」を組み合せる楽しさ。パーティーを通して交流する在学生と卒業生。地元にある様々な美味しいものとの出会い。そして、「食」と「デザイン」の融合が演出するピースフルな空間と交流。『Link』のねらいは見事的中し、パーティーは大成功でした。

会の途中で『I'm here.2007』参加作家や各ギャラリーのオーナーさんたちによるマイクパフォーマンスも会場をおおいに盛り上げましたが、たくさんのお酒にも関わらず、だらしない酔っぱらいは一人も出ず、終始なごやかな会話がざわめく大人の雰囲気ただようパーティーでした。本当に。

こういうリラックスした、さりげないクリエイトが、参加者に与える創造的な刺激ははかり知れません。
ただ酔っぱらうための安っぽいフランチャイズの居酒屋ではなくて、街の歴史を感じさせる場所に手づくリのテーブルを囲んで、ささやかな食べ物を持ち寄って。
世代をこえて楽しく語らった、家族のような親密な時間でした。
これが伝統になればいいなぁ。毎年、七夕の夜が晴れるかどうかは怪しいのですが。

宮本武典/美術館大学構想室学芸員


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