美術館大学構想

■写真上:山形市は馬見ヶ崎川沿いのカフェ「エスプレッソ」でくつろぐグラフィックデザイナーの立花文穂さん。トレーラーを改造したこのカフェは『I'm here.』展の会場の一つ。この日はここでのインスタレーションを担当する大学院生のメンバーも来ていて奥のテーブルでミーティングをしていた。万華鏡を覗いているのはウチの奥さんで、テーブルには僕の大好きなバナナジュースが。
■写真下:肘折温泉郷への道中にある日本最大級の杉の巨木「クロベ」の前で。大蔵村在住の舞踏家・森繁哉さんのラブコールで、立花さんの山形ロケハンは大蔵村に飛び火。
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4月11日に今年のレジデンス作家でグラフィックデザイナーの立花文穂さんが山形にいらっしゃいました。キャンパス内の活動場所や、宿泊施設などを見ていただき、秋の滞在期間中の活動内容について打ち合わせました。
芸工大における立花さんのアーティスト・イン・レジテンスは、『舟越桂展』のドキュメントブックの制作が主な活動になります。ブックでは舟越作品の魅力を、アトリエの緊張感や、鑿跡のマテリアルや、作品と人々との関係・出会などを記録する、「コト」のドキュメントとなる予定です。

また、本の編集過程は、色校正や、アイデアメモなどを随時壁面にクリップする形で、10月中旬の期間中、大学図書館内の特設編集室周辺でリアルタイムに公開されていきます。これ自体が既にインスタレーションみたいですね。ちなみにこの企画は、舟越展とあわせて、11/15〜12/20の日程で京都造形芸術大学ギャラリーオーブにも巡回予定です。

先週の月曜日に、世田谷区経堂にある舟越桂さんのアトリエでお二人を引き合わせたところ、数年前に舟越さんが出演していた資生堂のCMの映像ディレクターが、立花さんの実兄であることが判明。やっぱり、ご縁があったのですね。
この日は赤々舎の姫野さんも交え、打ち合わせはアトリエ→焼肉店→カフェと場所を変えながら深夜までおよび、その中で舟越さんのアシスタントの中野さんの奥さんが、何と僕の高校の同級生(奈良市の高円高校)であることが判明したり…とまあ、多角的に出会いを楽しんだ一夜となりました。

お二人のコラボレーションは、赤々舎と舟越さんの所属ギャラリーである西村画廊が、これまた偶然に共同企画し、出版の準備が進んでいた「対話集:舟越桂×酒井忠康」と内容をリンクさせた形で、出版までこぎつけそうです。
舟越作品にまつわるビジュアルの合間に、おなじみ酒井先生の含みのある独特の言い回しによる作品解説が挿入される本を、あの立花文穂さんがディレクションする…一体どんな本になるのか、きっとこのアートシーンに詩的なインパクト与える作品になると確信しています。

それにしても、一つの出会いがどんどん増幅して大きくなっていく。こういう不思議でクリエイティブな感性のリレーに関われることはアートを愛する者として、とても幸せなことです。
しかししかし、現在僕はすでに9個のプロジェクトを抱え、もう息切れ状態。また、その一つ一つが今回のような、実に面白い連携の可能性を秘めているのです。同僚も学生も家族も僕のワーカーホリックぶりにいつも呆れ顔ですが、これはもう仕事を超えた、スポーティーな感覚すらあります。図書館スタッフのみなさん、部屋を散らかしてすみません。理解ある東北芸術工科大学と家族に感謝。

宮本武典/美術館大学構想室学芸員


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