美術館大学構想

■写真上:山形県大蔵村にある肘折温泉のお社。肘折温泉は約1200年ほど前の大同2年(807年)に発見されたと言われ、農作業の疲れを癒し、骨折や傷、神経などに効く湯治場として全国的に知られている。肘折温泉郷は大蔵村南部の山間にあり、月山を源にした銅山川の両岸に旅館が並ぶ。(ほとんど宮崎アニメの世界)
■写真中:川上にある源泉にて。温泉熱であたためられた卵形のドームに触れて眼を閉じているのは民俗学者の赤坂憲雄大学院長。赤坂先生が発起人となり、地元大蔵村出身の舞踏家・森繁哉教授(左)と、みかんぐみの竹内昌義准教授という、民俗学者+舞踏家+建築家という異色キャストで、1200年の歴史を誇る温泉街を舞台にしたアートプロジェクトを構想中なのです。右は肘折温泉郷振興株式会社の木村さん。
■写真下:温泉街の中心にある木造の旧郵便局。床のモザイクタイルがパリのカフェみたいでモダンです。プロジェクトのコアセンターとして利用できないかと思案中。
----------------------------------------------------------------------------------
【4月13日:大蔵村肘折温泉へ】
森繁哉先生とともに大蔵村の肘折温泉へ。両先生が民俗学者としてフィールドワークを続けて来たかの地で、「何か大学の制作活動とリンクするアートプロジェクトをコーディネートしてほしい」とのこと。
車で峠道をくねくね2時間。途中、次年子(じねご)蕎麦街道で美味しい寄り道をしつつ、月山の麓に佇む肘折温泉郷で赤坂憲雄先生と待ち合わせ。肘折ホテルの柿崎社長に、鄙びた温泉街を案内いただきました。

まるでつげ義春の漫画から抜け出たような町並は、古くから修験者の宿場や、長逗留する湯治専門の「秘湯」として、県内では有名ですが全国的には知る人ぞ知る存在。温泉街通りに連なる24軒の旅館には売店がなく、湯治客はめいめい浴衣姿で狭い路地を買い物袋を下げて行き交っているのが印象的でした。また、毎朝地の野菜や魚を並べる朝市が立ち、長逗留する客は旅館にある台所で調理するのだそうです。

ここでのプロジェクトは、肘折の開湯1200年を記念するお盆の火祭りに時期をあわせた、温泉場特有の景観のRe:Designになる予定。日本画コース卒業生が、和紙に描いた肘折の風景を、和?燭や照明を仕込んだ行灯などと組み合わせ、古き温泉場の夏の夜を美しくライトアップします。
照明のデザインは、「廻灯籠」をモデルに、建築・環境デザイン学科の竹内昌義准教授がゼミ生とともに設置計画も含めておこない、器具の制作は山形県工業技術センターを通して庄内の伝統工芸「組子」職人に協力を仰ぐ予定です。

『肘折温泉〈廻灯籠〉プロジェクト』
会期:2007年7月13日[金]ー8月17日[金]
共催:肘折温泉郷振興株式会社
監修:赤坂憲雄大学院長/森繁哉教授
企画・制作:建築・環境デザイン学科竹内ゼミ/美術科日本画コース(番場准教授)/美術館大学構想室
協力:肘折温泉開湯一千二百年祭実行委員会/野桜会/山形県工業技術センター庄内試験場

宮本武典(美術館大学構想室学芸員)


▼この記事へのコメントはこちら
名前

件名

本文

URL

画像

編集/削除用パスワード
※半角英数字4文字で自由に入力下さい。


手動入力確認イメージ
※イメージ内の文字を小文字の半角英字で入力して下さい。



 ※ 管理者の承認後、反映されます。