美術館大学構想

このブログをはじめるにあたり、担当者としてまずは正直な気持ちを。
ここで、ここから、様々なジェネレーション、性、社会的立場、アートに対する認識のレベルなど、当然ながらまったく別個で未知、かつ不特性多数の対象に対して「書く」ことに戸惑いを感じています。

ブログや掲示板に氾濫する「語り」の、首筋にマトワリツクような粘っこいテンションに違和感を感じ、ネットの世界からいかに遠く、「時代の感性」なる代物からズレて生きていくかを思案し続けてきた僕です。

ですから、サイバー上の仮想広場で、今この瞬間、僕は誰に向かって語っているのかを考えると、かなり気後れしてしまうのです。
それは畏るべき父かもしれない、喧嘩中の愛妻かもしれない、ツナギ姿の学生かもしれない、カウンターに佇む司書・佐藤さんかもしれない、宇部でクリーニンング屋を継いでいる絵筆を捨てたかつての親友、かもしれないのですよ。

近代以降の芸術が、写真の発明により再現性の意味を変換し、見る事のできない心象の描写へと、具現化の対象を移行させたのにしたがって、「さて、とう分かりあえるか?」との問いは、すでにアートの大前提として、真白いキャンバスの上で恨み節のように渦巻いています。

時代が、いかに便利なコミュニケーションツールを生み出そうとも、アート・デザインは、常に「美をもって理解しあい、分かち合う」ことを深く思考しつづけるでしょう。
何よりも僕自身が安直な主観の垂れ流しに走らぬよう、心を引き締めなければ。

***

さて、芸工大の学生さんたちに対象をしぼっていえば、せっかく僕らはこの山形で、少なくとも1キロ圏内でキャンパスライフを送っているのですから、よかったら顔を見ながらおしゃべりしましょう。
学食で100円のコーヒーを飲みながら、現在制作中の作品のことや、生まれ育った街の特産品のことなどについて、意見交換をしましょう。
このページでは、なるだけ、その出合いや対話(人とであったり風景とであったり、芸術作品とであったり)の素敵な余韻を伝えるために、慎重に、丁寧に綴っていきたいと思います。

はじめからちょっと長くなりました。
少し緊張がほぐれてきました。
とにかくはじめてみますので、このブログ、今後ともよろしくお願いします。

美術館大学構想室・学芸員/宮本武典


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