ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

朝日連峰の残雪がどんどん小さくなり、ブナやナラの若葉たちが山頂目指してせり上がっていく。里には園風景、渡る風が気持ちいい。こんな春の若草の景色の中に、どうしても目が行ってしまうのが除草剤によって枯れてしまている畔草だ。そもそも畔草は風雨から畔を護り、根は土をしばり水田の決壊を防いでいる。だから農家は畔草を散髪しても、根まで枯らさなかった。
 いま、枯れた畔の風景が広がっている。心が荒む風景だ。背景に水田経営の規模拡大と小規模(家族)農家の離農と老齢化。今更どうしようもないのか。数千年、数百年の農家、農村の歴史と文化。それらを背負いながら、なお離農を決断する農家に翻意をうながす言葉は見当たらない。
 キーワードは「地域社会」「支え合う」「つながる」「環境」などだろうが、根本はこんな現実を作るに至った政治。それを選んできた我々に返って来る。


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