ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
母親のカレー
今から60年ほど前のことになるが、母親はよくカレーを作ってくれた。それは俺たち兄妹にとって、とても楽しみなご馳走だった。小麦粉とカレーの粉を水で溶き、肉の代わりにクジラの白身。ニンジンやジャガイモ、ネギなどを加え煮込んでくれたもの。
夕方、遊びから帰ると、その香りが近所まで広がり、「あ、今日はカレーだ!」と、とても誇らしく、うれしかったことを覚えている。皿にご飯と香り豊かなカレーをかける。福神漬けなどのコジャレタものはなかったが、それがとってもおいしく、腹がはち切れるまで食べた。
それから随分時が経った。102歳になった母親は今も健在だ。何年か前に、子どもの頃に食べたカレーを再現してもらったことがあった。小麦粉にカレー粉、クジラに野菜は昔と一緒。出来上がった香りも、黄色の色合いも当時と同じ。
「よし!」とスプーンですくい口に運ぶ。ん? これがあの頃食べたカレーか? 味が淡白過ぎてコク感じられない。深みもない。まずくはないがおいしくもなかった。あんなに喜んだ味だったのに。母親には申し訳ないが、全く期待外れだった。
「お前たちはこのカレーをおいしい、おいしいと、いつも喜んで食べていたんだよ」と、母親は笑みを浮かべてはいたが、どこか淋し気だった。
なぜおいしく感じなかったのか?それは俺の味覚が変わり、昔の味では満足できなくなったからに違いない。今のカレーに感じるコクや深みは、カレーのルーの中に含まれている化学調味料の力なのだろう。母親が作った昔のカレーには、そうした調味料は全く含まれていなかった。
2021.06.19:
kakinotane
:[
メモ
/
「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
]
https://kanno-nouen.jp/
菅野農園のホームページで
お米を販売しています
名前
件名
本文
URL
画像
編集/削除用パスワード
※半角英数字4文字で自由に入力下さい。
手動入力確認イメージ
※イメージ内の文字を小文字の半角英字で入力して下さい。
※ 投稿後、すぐに反映されます。
「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜農業版〜」
私の経営
プロフィールのようなもの
「ぼくのニワトリは空を飛ぶ」 バックナンバー
お米と玉子を食べてみたい方のために・・
菅野芳秀の連絡先
レインボープラン推進協議会
カテゴリー
メモ
メール
Q&A
暦
リンク
地図
ウィキ
特集
プラン
ケータイサイト
インフォメーション
プロフィール
copyright/kakinotane
夕方、遊びから帰ると、その香りが近所まで広がり、「あ、今日はカレーだ!」と、とても誇らしく、うれしかったことを覚えている。皿にご飯と香り豊かなカレーをかける。福神漬けなどのコジャレタものはなかったが、それがとってもおいしく、腹がはち切れるまで食べた。
それから随分時が経った。102歳になった母親は今も健在だ。何年か前に、子どもの頃に食べたカレーを再現してもらったことがあった。小麦粉にカレー粉、クジラに野菜は昔と一緒。出来上がった香りも、黄色の色合いも当時と同じ。
「よし!」とスプーンですくい口に運ぶ。ん? これがあの頃食べたカレーか? 味が淡白過ぎてコク感じられない。深みもない。まずくはないがおいしくもなかった。あんなに喜んだ味だったのに。母親には申し訳ないが、全く期待外れだった。
「お前たちはこのカレーをおいしい、おいしいと、いつも喜んで食べていたんだよ」と、母親は笑みを浮かべてはいたが、どこか淋し気だった。
なぜおいしく感じなかったのか?それは俺の味覚が変わり、昔の味では満足できなくなったからに違いない。今のカレーに感じるコクや深みは、カレーのルーの中に含まれている化学調味料の力なのだろう。母親が作った昔のカレーには、そうした調味料は全く含まれていなかった。