ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

和顏施(わがんせ)
誰にでもできる笑顔の贈り物。この言葉を知ったのはずいぶん前の事になる。それ以来今日まで、誰かの笑顔に出会い、新しい力を得たように思える度にこの言葉を思いだす。この言葉は仏教の教えの一つで、地位や財産がなくても心がけによって誰もがいつでも簡単にできる他人への「施し」の一つだという。まわりがホッとして、うれしくなるような贈り物。
 笑顔をもらう立場から言えば、いつだってうれしい。暖かい笑顔に出会うとなにかうれしい贈りものをもらった様な、どこか浮き浮きした心もちが続く。あらためて考えて見れば不思議な力だ。笑顔。「和顔施」。なるほどな。
 さて、今日、コロナによって誰もがストレスの多い暮らしを強いられていて、イライラ感はコロナ以上に伝染する。こんな時だからこそ、そこには「自分を引っ張る笑顔」、「周りを支える笑顔」、「気持ちを明日につなぐ笑顔」など、意識的、自覚的な笑顔があっていい。鏡を前にし、口角を上げて練習してみるというのも大いに有りだな。鏡を前に・・今日は止めておこう。

 月刊「地域人」(大正大学出版会)所収・拙文より抜粋


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