ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ

 


東京からは桜が散ったという便りが届いているのに、こちらはまだ桜どころか梅の花も咲いてない。でもようやく鶏舎の周辺から雪が消えた。

 ニワトリ達は久方ぶりに鶏舎の外に出た。あいにくの小雨模様。それでもほとんどが外で遊ぶ。土の上はほぼ4ヶ月ぶりだろうか。一気に駆け出すもの、飛ぶもの、土をついばむものなど様々だけど、みんながうれしそう。雪に閉じ込められて、ずーっと鶏舎のなかだったのだから無理もない。退屈でもあったろう。さぁ春だ。思いっきり遊べ!なんだか見ている僕の方もウキウキしてくる。

だけど一方で、ゲージの中で飼われている大部分のニワトリ達にとっては、あいかわらず冬も春もない切ない毎日が続いている。さぞや「むなしい人生だ」と力を落としているに違いない。苦しいだろうなぁ、つらいだろうなぁと思っていたら、とても興味深いニュースが飛び込んできた。
ドイツでは2007年1月1日をもって、採卵鶏をゲージで飼うことが法律で禁止されるという。これによってニワトリ達は自然な方法でエサや水をとり、砂浴びができるようになるということだ。EU全体でも2012年から実施するという。これはすごい。とてもいいニュースだ。

ヨーロッパでは以前から「動物福祉」という考え方を育ててきていて、ニワトリだけでなく、牛や豚など家畜全般に対して、なるべく苦痛を与えない環境で飼おうとしてきた。
やっぱり、かの地の人々にはかなわないなぁ。家畜に思いやる気持ちが国を動かすほどの世論になっているということかぁ。

他方、日本ではどうかといえば、ニワトリ達のまわりに、そんな風は少しも吹いていない。比較的敏感な生協などでさえ、たまごの安全性にはこだわっていても、ニワトリ達をゲージから解放しようという取り組みまでは聞いたことがない。

どうしてだろうか。何故、日本ではこのような世論がそよとも起こらないのだろうか?日本人は冷たい民族なのかい?いやいや、僕は決してそうは思わない。
原因は、ただやたらに忙しいからだと思う。たとえば都会で働く多くのサラリーマンにとっては、隣人にさえ、ある場合は自分の家族に対してだって思いを寄せる余裕がないほどの毎日だと聞く。とても家畜にまでは及ばないということだろうか。

家畜たちをゲージ飼いの世界に追い込んでいるものは「経済効率」というモノサシだが、そこから、彼等を自由にしようとしたら、まず我々自身が自由にならなければならないということだろうか。
うわっ、根が深いぞ、これは。困った。どうしましょうか?



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