獅子宿

メモ
このお獅子が地元金子さんが制作した獅子頭。上を見てます。

この獅子頭は、とある川西町の豪農のお宅の蔵が安置場所になっていて、明日蔵入りする前に特別にお願いして見せていただきました。一番古い獅子は赤い白鷹町で見られるような形で、明治後期に制作され、このお宅の近所に住む指物大工が手がけた獅子頭という。この写真の獅子頭が、次に作られた獅子で昭和30年代に制作され、おそらく長井の獅子彫師竹田吉四郎のものと思われます。最近の獅子は地元の大工さんで金子さんという方の作ということです。獅子頭も立派ですが獅子を安置する箱も立派で「舌切り雀」の話に出てくる欲深い婆ちゃが選んだ、お化けが入っているでっかいツヅラのようでした。

最近人気の「だし」を冷たい蕎麦に乗せていただく、夏秋メニュー。他のお客さんもそれを注文していました。私は大盛り蕎麦と辛味大根(300円)を試してみました。

そうそう!かんなり前の五月の連休に家族と偶然訪れ、満席で入れなかった店でした。蔵王のふもとの山間の部落に知る人ぞ知るといった環境にあります。秋晴れの中、紅葉にはまだまだ早く、鄙びさ加減もイマイチの季節。平清水から岩波を登り、ふとした看板を目印に車を走らせると、農作業姿のおばちゃんが小川のせせらぎで胡桃を洗っているのを発見。こちらが蕎麦屋さんですか?と尋ねると車庫に並べた自家製野菜を指差し「帰りに買ってってけらっしゃい」と手前野菜の宣伝でした。妙に観光客対応慣れしたおばちゃんは、いかにも山形人といった雰囲気を演出する女優という感じであります。だしそばがこの店の看板の様でした。店に並んだ清酒のビンが嫌に気になり、八海山を注文し同伴の方に試飲していただきました。

数年前、長井高校の庭の柳が風折れしたものをいただき制作しました。黒いので見えにくいのですが、木地の時は「豚ですか?猪ですか?」と失礼なご意見もあったんです。黒い馬の毛を植えて見ましたが、やはり黒い獅子の色には白の毛がいいようです。野性味はありますね。柳で薄く作っていますので軽く、獅子頭というより面というカテゴリーの分野に属したほうがいいかな。軸を噛んで固定もできます。以前から新しい創作の舞の構想があり、その手始めに作ってみました。熊に見えるかな?熊の動きを研究して舞いにしてみたいですね。

街の表情も毎年更新していきます。昭和初期から高野町のこの通りも華々しい時代がありました。あやめ公園に続くこの道は、地元の人々が大勢下駄のカランコロンという音を響かせながら期待を膨らませ公園へと闊歩したのでした。その一角にその華々しい時代の面影を残し毅然と立ち尽くしているのがこの建物です。今年春、老朽化していた旧郡役所が整備されましたが、その建築様式と似かよったデザインに以前から注目していました。こちらの家主は彫金作家として活躍されていてそばを通るとカンカンカンカンと銅板を叩く音が聞こえる時があります。遠くなった繁栄を惜しむかのような寂しい音にも聞こえます。