獅子宿

激しい空洞化は人口ばかりではありません。この天然記念物の桜も高齢化で骨がなく皮ばかりになっています。今年の豪雪でさらに枝が折れました。その部分を外科治療し、その傷口のケアをいたしました。延命治療の効果あって来年すばらしい花を咲かす事を祈るばかりです。今日はその傷口を化粧するのが私の仕事。元の部分の色に合わせ、アイシャドー、チーク、マスカラ、アイライナーなどを施しウンビャク歳のおばあさんを若返らせます。するとここに80歳ぐらいのおばあちゃんがヒョッコリ現れました。後ろのお堂にお参りにきたそうです。見学者に「この桜にお願いすると何でも叶えてくれるんだ。オレも何度も助けらっちゃがら、毎日お礼参りにくんナだー」としわしわの手を合わせ、ありがたそーうに祈っていました。霧が晴れた晩秋の空はどこまでも澄み切って、暖かい日差しが薬師桜を優しく照らしているようでした。


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