美術館大学構想

『いつかみたー秋田平野を想うー』
千田郁代(工芸コース陶芸専攻)

道路端が寝雪がゆるんだ気がしたのもつかの間、再び雪と寒風吹き荒む今週から、2005年度の卒業制作展がはじまりました。
大学構内に加え、山形美術館、悠創の丘と3会場にわたり、学生たちがここ山形での生活で出した「答え」が展示されています。

それにしても、真白い雪に覆われた風景の中での卒業制作展というのは、緊張と、後悔と、疲労と、安堵に充ちた(歓喜はないですよね?)このイベントに、なんだか抗し難いある種の「切なさ」を補強している感じがするのは僕だけでしょうか?
卒業生のみなさん、きっと一生忘れる事はできませんよ。

さて、千田さんのダンス。

若い人たちの懸命な、身体を張った表現を直視すべきとき、僕はしばしば「強い観者」と「弱い観者」という言葉について考えてしまいます。
たいてい僕は逃げ出してしまうのですが、これは照れくさいというより、彼らのストレートな投げ出しを、肯定してしまうことに「恐さ」を感じるのです。
とても僕には引き受けることはできないし、その資格もない。

けれども千田さんのダンスは(そんな僕なんかより)雪の身を切るような冷たさと、彼女の背後で白くかすんだ山々に、確かに祝福され、肯定されているようでした。
彼女が山形で学んだ事が、しっかりこの地の「風景」になっていると感じましたよ。

宮本武典(美術館大学構想室学芸員)
2006.02.16:miyamoto:[メモ/展評]


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