レインボープランとは
レインボープランの背景には、大きく次の二つがあります。
1.疲弊してきた土 1961年に「農業基本法」が制定されてから今日まで、大量消費のための 大量生産をねらいとする、化学肥料と農薬を多用した農業が続けられ 「土」の疲弊を招いてしまいました。 持続する農業、健康な作物を作ろうとするには、農地に堆肥を入れ、 微生物が住む豊かな農地を再生する必要がありました。 2.低い地域自給率 長井市は田舎町として、台所と農地が一番近い関係にあります。 しかし、地元の作物はまちや学校の頭を越えて、大都会などの 大量消費地へと流れ、市内の店頭にはなかなか出回らない現実が ありました。平成4年の実態調査では地場農産物の自給率はわずか 6%前後(地方卸売市場における地元産取扱量からの試算)でした。 |
レインボープランは正式名称を「台所と農業をつなぐ・ながい計画」と言います。1988年の市民会議に端を発し、市民と農家と行政とが関わりあう有機物の循環の仕組みとして官民協働のもとで構築されてきました。1997年に「長井市レインボープランコンポストセンター」が稼働を開始して以降、市民は家庭の生ごみを分別し、行政は生ごみの収集とコンポスト化を、農家はコンポストを使って農産物を生産して市民へ販売するという循環型システムが動いています。
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レインボープランの生ごみ分別収集の対象区域は、市街地の約5,000世帯です。
区域には約230ヶ所の収集所があり、週2回の生ごみ収集日には、70リットルのコンテナバケツが設置されます。 市民は週2回、朝6:00から8:00頃までの間に生ごみを収集所のコンテナバケツに投入します。 それを、行政から委託された業者がレインボープランコンポストセンターへ運搬します。 ポイントは、分別の良さと持続性です。 堆肥の原料である生ごみには、食品残さ以外の異物が混入しないことが大切です。その点、長井市の分別の良さは他所からも定評があり、例えばスプーンなどのうっかり入ってしまう金属類は年間わずか0.03%g程度です。 事業を検討する過程で、市内の主婦たちが中心となってモデル事業を重ねた結果、できあがった分別収集方法です。 生ごみを袋等に入れずに直接コンテナバケツに投入するため、異物の混入がないかどうか、住民がお互いに確認し合うことができます。 「土づくりへの参加は、台所から始まる」とする理念の確かさが、市民の共感を呼び、意識を高め、事業の基礎を作り上げています。 (2020年更新済) |
レインボープランコンポストセンターに搬入された生ごみは、農業廃棄物である籾殻・畜ふんと混合して、約80日間かけて堆肥化します。
年間投入量は生ごみ500トン、畜ふん400トン、籾殻200トン。 そこから約400トンの堆肥を出荷しています。 生産された堆肥「レインボープランコンポスト」は、JA山形おきたま農協を通して市内の農家や市民に販売しています。 市民の分別に支えられた安心感と親しみやすさ、堆肥自体の扱いやすさ(軽い)が好評です。価格はバラ売りが1トン2,625円、10キログラム袋で231円です。 (2020年更新済) |
農家はレインボープランコンポストを使って土づくりをして、レインボープラン推進協議会独自の栽培基準に基づき、化学肥料や化学合成農薬の使用を抑制して農産物を生産します。
認証を受けた農産物には「レインボープラン農産物認証シール」が貼られ、市民の台所に提供されます。 |
Copyright (C) 2005 レインボープラン推進協議会
レインボープランには二つの循環が回っています。
ひとつは「土から生まれたものを土に戻す」という循環であり、
もうひとつは「まちとむらをつなぐ人の輪の循環」です。
この二つの循環によって市民が主人公の、台所と農業をつなぐ、
食と健康の地域づくりが可能となります。
2.「ともに」
生命資源の前ではすべての人々は平等です。
すべての市民は職業の違いを越え、同じ地域の生活者として
互いに協力しあいながら循環社会をつくることが求められます。
レインボープランを進める場合においても、住民が議論し、
市役所がそれを決定するというのではなく、「住民自治」と
「参加」を何よりも大切にし、「ともに」運営されていかなければ
なりません。循環型社会とは、住民の高い自治意識とそれに
支えられた参加・参画によって組み立てられていく社会であります。
3.「土は生命(いのち)のみなもと」
田畑を生ごみの捨て場にするのか、土といのちを大切にする
循環型社会の創造の場にするのか。
この両者を分かつものは、ひとえに「土は生命のみなもと」を
事業の理念とすることができるか否かにあります。