LaBell 鈴の宿 登府屋旅館

▼温泉ビューティ講演会 その4

温泉宿の楽しみ方

2.分析表で納得

血流が落ち着いたら、いよいよお風呂を楽しむわけですが、せっかくなのでもうひと手間。

温泉ならば必ず掲げられている『温泉分析書』に目を通しましょう。


女性の方は、化粧品を買うとき、何の成分がどのくらい入っているかを気にしますが、それは温泉でも同じこと。

ここの温泉は、どんな成分が含まれているのかな?何に効くのかな?

という関心を持ち、実際に見ることでプラセボ効果が期待できます。


プラセボ効果とは、偽薬効果とも呼ばれ、実際には効果のない薬を処方しても薬だと信じ込むことによって何らかの改善がみられることです。

以前、温泉偽装騒ぎのときに温泉でなく沸かし湯のお風呂であるにもかかわらず、『「病気に効いた」というお客様がいてよかったと思った』と話していた旅館経営者がいました。

この沸かし湯であるはずなのに治ったお客様は、プラセボ効果だったと思われます。

今回は、偽装ではなく、本物の温泉の効果を高めるためのひと手間です。

3人に1人の確率でプラセボ効果が現れるといわれています。

「病は気から」といいますが、「この温泉は体にいい」と思うと1/3の確率で改善するということです。

このプラセボ効果を得るためにも、ぜひ温泉分析書を見てください。



ちょっと専門的になってしまいますので、時間のない方のために結論を先に書きます。

【小野川温泉の特徴と期待される効果】

・お肌にやさしい中性

・硫黄成分が毛細血管を拡張し、血流がよくなる

・塩の成分が保温効果を高め、あがったあともポカポカ温かい

・メタケイ酸がコラーゲンの生成を助け、お肌がうるおう

・リチウムにより、精神が安定し、イライラが解消する


では、実際に小野川温泉の温泉分析書を見ながら、コツを解説します。

まず、pH値。

これは、酸性かアルカリ性かを表す数値です。

7より下だと酸性、7より上だとアルカリ性です。

酸性の温泉には、お肌をひきしめる効果があり、アルカリ性の温泉には石鹸のような汚れや角質を落とす効果があります。

小野川温泉は、pH値が6.9。

中性ですので、お肌にやさしい温泉だといえます。


そして、少し専門的になりますが、その下の「陽イオン」「陰イオン」の欄は、温泉ごとに様々な違いがあり、その特徴が表されています。

左から、@イオン名に続き、Aミリグラム、Bミリバル、Cミリバル%と3つの数値が書かれています。

例えば、小野川温泉の陽イオンの1行目は、リチウムイオンです。

A4.3mg、B0.62mval、C0.67mval%となっています。

Aのミリグラムは、源泉1kgのなかに何グラムのリチウムがあったかというと4.3mgですよ、という意味。

Bのミリバルは、その4.3mgのリチウムをイオンに直すと0.62mvalですよ、という意味。

Cのミリバル%は、0.62mvalは、この温泉に含まれる陽イオンのうちの0.67%ですよ、という意味です。

ミリバル%は、シェア(全体からの比率)なので合計すると100%になります。

小野川温泉における陽イオンのシェアは、

1位 ナトリウムイオン  66.14%
2位 カルシウムイオン  29.41%
3位 カリウムイオン    3.39%
4位 リチウムイオン    0.67%
5位 マグネシウムイオン  0.38%
6位 マンガンイオン    0.01%

となっていて、足すと100%になります。

ナトリウムイオンが66%、カルシウムイオンが29%、2つ合わせて95%です。

カルシウムが多いので、湯船のふちには白い石上の結晶が付着しているのです。


ちなみに、温泉の成分は、法律により何が何ミリグラム含まれれば温泉と名のれると決まっています。

貴重な成分ほど、少ない数値でも温泉と認定されます。

【リチウム】

リチウムの場合、1ミリグラム含まれれば温泉と認められる成分です。

そのリチウムが、4.3ミリグラム含まれています。

リチウムの温泉には、躁鬱のように精神的に不安定な状態に対して、精神を安定させ、イライラから解放する効果が期待できます。


陽イオンがあれば、陰イオンが存在するのが自然界の法則です。

小野川温泉の陰イオンは・・・

1位 塩素イオン    95.93%
2位 炭酸水素イオン   2.01%
3位 硫酸イオン     1.73%
4位 フッ素イオン    0.16%
5位 臭素イオン     0.12%
6位 硫化水素イオン   0.05%
7位 ヨウ素イオン    0.00%

となっており、こちらは大部分が塩素イオンです。

【塩化ナトリウム】

塩素イオンはナトリウムイオンと合わさって塩化ナトリウムになります。

塩化ナトリウムとは、塩です。

(ですから、江戸時代に上杉鷹山公は小野川に塩田を作り、温泉から塩を取ったわけです。)

塩は、お肌のたんぱく質皮脂とくっついて塩皮膜を作ります。

これは、潤いを保つパックの役割になり、体がポカポカするのを持続させる働きがあります。

体のポカポカが長く続くということは、ダイエットの効果も期待できます。

【硫黄】

次に、小野川温泉の特徴として、硫黄成分があります。

温泉の総硫黄量は、@硫化水素イオンの量とA遊離硫化水素の量とBチオ硫酸イオンの量を足してわかります。

小野川温泉には、Bは含まれていないので、@1.7mgとA2.5mgを足して4.2mgの硫黄が含まれています。

硫黄成分には、毛細血管を拡張し、血液の流れをよくする効果があります。

血流の流れがよくなると、体内に必要な栄養がいきわたり、老廃物がきちんと運ばれますので、毒素排出すなわちデトックスにつながります。

今流行のメタボリックシンドロームも老廃物の蓄積が一因になりますのでメタボ対策にもなるといえます。

また、美白の効果も期待できます。

【メタケイ酸】

小野川の特徴として豊富なのが、メタケイ酸です。

これは、241.7mgと全国でも4番目の量です。

メタケイ酸は、胃薬などにも含まれる成分です。

荒れたお肌をしっとりさせ、コラーゲンの生成を助けます。

小野川温泉に伝わる小野小町の伝説では、長旅で鬼のような顔になった小町が温泉を見つけ、入浴したら元の美人に戻ったといわれています。

まさにその話につながるような成分です。


なお、温泉は生き物ですので、成分は気候や天候、季節により変化します。

旅館にいったら、入浴前に成分を知ることで違いを楽しみながら温泉を楽しむことができます。

画像 ( )
2008.03.18:tofuya

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