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<それはコウノトリとの出会いから始まった~「芸術と文化」によるまちづくり>~ IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)の実現を目指して(その3)…あぁそして、イーハトーブの懲りない面々よ!!??

  • <それはコウノトリとの出会いから始まった~「芸術と文化」によるまちづくり>~ IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)の実現を目指して(その3)…あぁそして、イーハトーブの懲りない面々よ!!??

 

 「科学だけでは冷たすぎる。宗教だけでは熱すぎる。その中間に宮沢賢治は芸術を置いたのではないか」(岩手ゆかりの作家で賢治関連の著作もある井上ひさし)―。兵庫県豊岡市で「演劇」によるまちおこしを実践している劇作家で演出家の平田オリザさんは近著『但馬日記―演劇は町を変えたか』の中で、井上のこの言葉を引き合いに出しながら、次のように書いている。「賢治の思いが、100年の時を経たいまよみがえる。熱すぎない、冷たすぎない、その中間に芸術や文化を置いたまちづくりが求められている」―

 

 オリザさんの活動拠点は2021年に開学した、芸術文化と観光をコラボした全国初の4年制大学―「兵庫県立芸術文化観光専門職大学」である。この長ったらしい名前の大学の生みの親が実は「コウノトリ」だったと言ったら、みんなは目を白黒させるにちがいない。「コウノトリ『も』住めるまちを創る」―。2001年から5期、豊岡市長を務めた中貝宗治さんさんは、”小さな世界都市“(Local&Global―City)を標榜して、まちづくりを成功に導いた地方政治家として知られる。その政治哲学の原点は『が』ではなく、この『も』の発見にあるとして、自著『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』の中にこう書いている。

 

 「かつてコウノトリは田んぼに植えたばかりの苗を踏み荒らす『害鳥』でした。そのコウノトリは、今や『豊かな環境のシンボル』です。この間、コウノトリ自身は何も変わっていません。変わったのは、人間の方です。人間が価値観を変えたのにすぎません。…そのような豊かな自然は、人間にとって『も』素晴らしい自然であるに違いありません」―。特別天然記念物に指定されているコウノトリは53年前、豊岡で確認されたのを最後に姿を消した。「コウノトリ共生推進課」を設置し人工飼育を進めた結果、平成17(2005)年、絶滅から34年ぶりに世界で初めての野外放鳥に成功した。いまは「コウノトリの郷」として、まちづくりのシンボルになっている。

  

 「いっそのこと、タダで劇団に貸してはどうか」―。志賀直哉の『城の埼にて』で知られる城崎温泉の近くに収容人員が千人規模の古いホールがあった。このお荷物施設の再利用に思案投げ首していた時、東京出張の機内でふとそう思いついた。2014年4月、日本最大級の滞在型「アーティスト・イン・レジデンス」(城崎国際アートセンター)はこうして「ヒョウタンから…」ではなく、まさにコウノトリが産み落としたかのようにして誕生した。「も」の哲学の本領発揮である。生まれも育ちも東京の“全身演劇人”…オリザさんが当地に移住してもう5年になる。

 

 「堅雪(かたゆき)かんこ、凍(し)み雪しんこ」―。79年前の厳冬期、花巻郊外の山里に子どもたちの元気な声が響き渡った。先の大戦の空襲によって廃墟と化した花巻のまちに敗戦の翌年、「花巻賢治子供の会」という児童劇団がうぶ声を上げた。賢治の教え子である照井謹二郎さんと妻の登久子さん(ともに故人)は賢治童話を劇にして、戦後の混乱に巻き込まれた子どもたちを励まそうとした。焼野原の中で焼失を免れた馬小屋がけいこ場だった。

 

 当時、東京から疎開した詩人で彫刻家の高村光太郎が郊外の山荘で独居生活を続けていた。照井夫妻は第1作目の『雪わたり』を携え、親類や近所の子どもたち十数人を寄せ集めた“にわか劇団”を引き連れて、慰問に出かけた。「(分校の)校長さんも先生方も部落の子供達も大工さんも製板さんも通りがかりの村の人達もみんな温かい気持に満たされて、うれしさうに見えました。現世では数へるほどしか数の少い幸福をつくり出すお仕事は何といふいいものでせう」―。光太郎からこんな感謝の手紙が届いた。会の命名はこの大芸術家からのプレゼントだった。

 

 「ここ豊岡に世界の風を吹かせて、その風で小さな風穴を開けるのだ」―。専門職大学の初代学長であるオリザさんは自著をこんな言葉で結んでいる。瞬間、賢治のあの歌が唱和した。そう、『風の又三郎』に登場する風の精霊たちの主題歌である。

 

 「どっどど どどうど どどうど どどう/青いくるみも吹きとばせ/すっぱいかりんもふきとばせ/どっどど どどうど どどうど どどう」―。「IHATOV・LIBRARY」のホールの一角に可愛らしい踊り手たちが現れた。オリザさんが演出を手がけた新作の『風の又三郎』の主役たちである。「風」こそが変革のシグナル…この光景は決して「夢」ではない。いや、夢に終わらせてはならない。「オリザ」流のまちづくりはインバウンド(外国人旅行客)へも着実につながりつつある。「イーハトーブはなまき」とは、つまりは「小さな宇宙都市」(Local&CosmicーCity)の謂(い)いである。

 

 

 

 

(写真は「賢治」が出迎えるJR花巻駅前。駅橋上化と図書館の駅前立地が実現すると、“銀河鉄道”始発駅の趣は一掃されてしまう=花巻市大通りで

 

 

 

 

 

《追記ー1》~あっちでも「公開×非公開」論争…こっちは最初から“門前払い”!!??

 

 

 6月27日付当ブログと比較しながら、以下の文章を読んでいただきたい。

 

  「兵庫県の斎藤知事のパワハラなど7つの疑惑を調査する「百条委員会」の4回目が2日、開かれたこの日は証言をすることで不利益を被ることへの懸念や心理的ストレスを訴える職員の声に配慮し、秘密会のあり方について議論された。竹内英明議員が「当初、非公開で行うと言って職員の証人に『非公開だ』と求めた所『公開でしてほしい。公の場で自分が受けた被害等を言いたい』と報道がありました。そういった場合、逆に公開でした方が良いのではないか」と提起し、議会では「公開で証言したい証人」は8月30日の公開委員会で行うと決定した。

 

 庄本えつこ議員は「こちら側から証人(出頭)要求する時に『ぜひ公開で』とは絶対にしないように注意をするように。私たちは証人に対して配慮をしたいという意思を示したい」と強く主張し、別の議員も同調圧力に注意するようにと賛同の意を示した。前回の委員会で秘密とされた「(8月)30日に斎藤知事が出頭する」件が、その日のうちに報道されていたことについて黒川治議員は「議会も当局もゆるんでしまっている、危機的な状況ではないか。興味本位でやっているわけではない」と指摘し、釘を指していた。

 

 注目度の高い委員会ということで、通常10席の傍聴席は30席に増やされていた。閉会後、傍聴人らが兵庫県庁の職員に「声が小さく聞こえない」といったクレームや「同僚だからこの人たちにも責任があるよ」「ちゃんとせい」などと詰め寄っていた」(2日付東スポWEB)

 

 

 

 

《追記ー2》~広瀬議員へ司直の手が…それを支えた懲りない面々(コメント欄に写真を掲載)!!??

 

 エッフェル女子から”赤ベンツ”不倫の広瀬めぐみ参院議員がついに、秘書給与をめぐる詐欺事件で司直の手へ。このご仁、昨年夏の花巻まつりに出没、畏れ多くも上田東一市長らと神聖きわまる風流山車の先導役を務めた(2023年9月10日付当ブログ参照)。この際、記念写真に収まった懲(こ)りない面々の姿を記憶に刻んで欲しい。政治の腐敗に手を貸した”共犯者”として…

 

目に余る“賢治”利用…ふるさと納税90億円の舞台裏~おらが賢治さんが泣いている!!??

  • 目に余る“賢治”利用…ふるさと納税90億円の舞台裏~おらが賢治さんが泣いている!!??

 

 「一体この物語は、あんまり哀れ過ぎるのだ。もうこのあとはやめにしよう。とにかく豚はすぐあとで、からだを八つに分解されて、厩舎(きゅうしゃ)のうしろに積みあげられた」―。宮沢賢治の童話『フランドン農学校の豚』の最終節はこんなセリフで閉じられている。「家畜撲殺同意調印法」が布告され、校長は法律に基づいて豚に対し、死亡承諾書への捺印をせまる。恐怖心にかられた豚はいったんは拒絶するが、結局は同意させられてしまう。賢治の教え子で戦後、「花巻賢治子供の会」を立ち上げた照井謹二郎さん(故人)は当時、その現場に立ち会った。その時の様子を「ピッグがピッグを殺した」というエピソードを交え、私に以下のように打ち明けてくれた。

 

 「真冬にしてはおだやかな日だった。雪におおわれた校庭に豚が一匹連れ出された。前足の一本がロープで縛られ、そのロープの端はテニスコートの支柱にしっかりと結びつけられた。校長がマサカリで脳天を一撃。豚はあっけなく死んでしまった。解体された豚は2日ばかり雪の中に埋められ、その後、収穫祝いの豚汁として職員と生徒にふるまわれた。その時の校長のあだ名がピッグだった」―

 

 イーハトーブ花巻応援寄付金(ふるさと納税)の人気商品のひとつがブランド豚「白金豚」である。賢治の同書の中にこんな記述がある。「水やスリッパや藁(わら)をたべて、それをいちばん上等な、脂肪や肉にこしらえる。豚のからだはたとえば生きた一つの触媒だ。白金と同じことなのだ。無機体では白金だし有機体では豚なのだ」―。銘柄名はこの文章に由来する。賢治が「あんまり哀れ過ぎる」と嘆いたその「白金豚」はいまや、文字通り、”カネノナルキ”(ベンケイソウ科の多肉植物、別名「成金草」)として、もてはやされている。

 

 食肉のもうひとつの人気商品はもちろん「牛」である。当市の令和5年度のふるさと納税額は約90億3千万円に達している。このドル箱を底支えしているのが「牛タン」だが、新銘柄「花巻黒ぶだう牛」がここ数年人気を増している。ぶどうの搾(しぼ)りかすを与えて、飼育。以前は「エーデルワインビーフ」として売り出されたが、その後、名前が変わった。当時のイベントのチラシにはこう書かれている。

 

 「花巻市御田屋町の旧菊池捍邸。『花巻黒ぶだう牛』の名称は、この建物が舞台とされる宮沢賢治の寓話『黒ぶだう』からいただいたものです」―。現存するこの邸宅は大正15年の建築とされ、昨年8月、文化庁の「国登録有形文化財」の指定を受けた。12年前、「賢治ゆかりの」という付加価値が付けられた途端、人気商品の上位にノミネートされるようになった。“賢治効果”が一目瞭然であるが、なりふり構わない“錬金術”には怖気(おぞけ)さえ覚えてしまう。”阿漕”(あこぎ)という言葉がぴったりではないか。

 

 「雨ニモマケズ」体験セット(一日に玄米四合と味噌ト少シノ野菜ヲタベ…)から今度は「はなまき星めぐりコイン」へー。臨時の共同記者会見(7月23日)まで開いて、この新しい「旅先納税」を披露した際、上田東一市長の顔にはいたくご満悦の表情があふれていた。一方の私は銀河宇宙の星たちが「コイン」(金貨)に変身させられた光景を目の当たりにしながら、5年前の“エアガン”騒動を思い出していた。まさに“悪夢”の光景だった。

 

 2019年8月、返礼品にプラスチック製の弾(たま)を圧縮した空気で飛ばす「エアガン」をリストに加えた。問い合わせが殺到し、わずか1時間足らずで受付を終了した。この話題がテレビのワイドショーやメディアで報じられた結果、事態は一変した。「アメリカでは銃乱射事件が相次いでおり,嬉々(きき)として返礼品に加えるのは無神経ではないか」…。1週間後、上田市長が謝罪文をHPに掲載し、幕引きを図った。賢治が“夢の国”と名づけた「イーハトーブ花巻」における“税金分捕り合戦”の舞台裏のほんのひとこまである。こんな光景を賢治は銀河宇宙の彼方から、どんな気持ちで眺めていることか。

 

 

 

 

(写真は「黒ぶだう牛」フェアを告知するチラシ=インターネット上の公開の写真から)

 

 

 

 

《追記》~これって、“誇大”広告に引っ掛からないのかな!!??

 

 「花巻黒ぶだう牛」は、花巻が世界に誇る株式会社エーデルワインが製造するワインのぶどうの搾りかすを飼料として給与しており、さらりとした脂と豊かな風味が特徴です。花巻出身の詩人で童話作家の宮沢賢治の寓話(ぐうわ)「黒ぶだう」で仔牛がぶどうを食べる描写があることから名づけられた、花巻ならではの「ブランド牛」です!

 

 寓話「黒ぶだう」は、花巻市御田屋町の旧菊池捍邸が舞台とされ、赤狐に誘われた仔牛が、留守の人間の別荘に入り込み勝手に「黒ぶだう」を食べていたところに住人の公爵一行が帰宅し、逃げ遅れた仔牛は見つかってしまいますが、怒られもせず、逆に黄色いリンを結んでもらうというものです。物語の中で、赤狐はぶだうの汁ばかり吸って他は全部吐き出しますが、仔牛は「うん、大へんおいしいよ。」と種まで噛み砕いて食べてしまいます。

 

 賢治は、当時すでに、ぶどうの搾りかす(皮と種)が家畜の餌として使えることに気づいていたのかもしれません。※発送までに約2ヶ月ほどかかります。ご了承くださいの上、お申込をお願いいたします=提供:JAいわて花巻 花巻黒ぶだう牛研究会(花巻市HPの「ふるさとチョイス」から)

 

<図書館は屋根のある公園である~まちづくりは図書館から> ~IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)の実現を目指して(その2)

  • <図書館は屋根のある公園である~まちづくりは図書館から> ~IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)の実現を目指して(その2)

 

 「図書館は屋根のある公園である」―。今年4月まで「みんなの森/ぎふメディアコスモス」の総合プロデューサーを務めた吉成信夫さん(67)はこんなキャッチフレーズを掲げながら、こう述べている。「図書館というのは、今までのように閉鎖形で全部そこの中で完結しているというふうに考えるのではなくて、むしろ図書館の考え方が街の中に染み出していく。そして、街づくりというか、街の考えが図書館の中にも染み込んでくる、その両方が浸透しあうような造り方というのが、たぶん、これからいろいろな形で出てくるだろうと思っています」(開館1年後の記念講演)

 

 賢治好きが高じて、東京生まれの吉成さんは1996年、一家で岩手に移住。賢治が技師として働いた旧東北砕石工場に併設して建てられた「石と賢治のミュージアム」(一関市東山)の開設をほぼ一人で担った。また、自然と共生する“賢治ワールド”を実現しようと葛巻町の廃校を利用した「森と風のがっこう」(NPO法人岩手子ども環境研究所)を開設したほか、一戸町奥中山の「県立児童館」(いわて子どもの森)の館長なども歴任。その後、メデイアコスモスの中核施設である岐阜市立図書館館長の公募に応じて、2015年の開館から5年間、館長を務めた。

 

 「柳ヶ瀬商店街を活性化することに図書館がどうやって寄与できるのか」―。館長としての初仕事はかつて「柳ヶ瀬ブルース」に沸いた商店街の立て直しだった。実は岐阜市立図書館は岐阜大学の旧医学部の跡地に建っている。新花巻図書館の立地候補地のひとつが「花巻病院跡地」という点も似通っている。さ~て、「吉成」流の出番である。まずは来館者を上町など中心市街地に呼び込むような新たな“人流”の形成へ。夢はさらに広がる。賢治の生家や童話『黒ふだう』の舞台となったとされる菊池捍邸、賢治が設計した花壇がある「茶寮かだん」(旧橋本邸=元呉服店)などなど。こんな“賢治”ルートを確立したら、シャッター通りに賑わいが戻ってくるのではないか…

 

 実は農業技術者として、台湾やスマトラなどでも活躍した菊池捍(まもる)さんの長女の昌子さんは戦前のプロレタリア美術界の第一人者、寺島貞志さん(ともに故人)の妻である。父親が建築した洋館風の邸宅では戦後、絵画やピアノの教室が開かれ、小中学生が通う寺子屋“寺島塾”として知られた。さらに、昌子さんは賢治の末妹クニさんとは小学校の同級生で、花巻高女時代は妹トシから直接、英語を習うなど宮沢家とは近い関係にあった。一方で当時の花巻図書館の司書を長年務め、現在まで続く「宮沢賢治の作品を読む会」の設立を呼びかけたのも昌子さんその人であった。

 

 当市出身の童話作家、柏葉幸子さんの代表作のひとつに『つづきの図書館』という作品がある。「図書館のつづき」ではなく、本の主人公たちが自分の本を読んでくれた読み手の「つづき」を知りたがるという奇想天外な展開である。その水先案内をする女性司書こそが昌子さんをうかがわせる文中の司書「山神桃」さんである。柏葉さんは以前、「昌子さんには何度も作品に登場していただきました」と語っていた。柏葉さん自身、賢治の影響を受けたという「縁(えにし)」の不思議に圧倒される。ザネリや鳥捕り、燈台看守、かおる子、タダシ…まるで賢治の名作『銀河鉄道の夜』に登場する30人もの”遭遇劇”を彷彿(ほうふつ)させるではないか。

 

 吉成さんの著作に『ハコモノは変えられるー子どものための公共施設改革』と題する労作がある。行政主導型からの発想の転換を促し、それを実践してきた“奮戦記”ともいえる記録である。メディアコスモスの1階部分には市民活動交流センターや多文化交流プラザがあり、「婚活」ならぬ本を通じた”としょこん”などユニークなイベントが盛りだくさん。禅僧に座禅の場を提供したこともあった。名勝・金華山と岐阜城を望むテラス席は人気の的で、霊峰・早池峰山を遠望できる病院跡地と立地環境もそっくりである。世界的な建築家、伊東豊雄さんの造形美とのコラボレーションもこれまた見事である。

 

 メディアコスモス(メディコス)全体の来館者数は今年6月、開館10周年を待たずに1千万人に達した。賢治を”実践”した貴重な体験は図書館の先進的な活動に贈られる最高賞「ライブラリーオブザイヤー」(2022年度)の受賞に結実した。いまは自由の身となった吉成さんは東奔西走の忙しい日々を送っている。さて、「吉成」流ならどんな「IHATOV・LIBRARY」をデッサンしてくれるだろうか…

 

 

 

 

(写真は新図書館の立地比較のための測量をする作業員。稗貫農学校跡の石柱が建っている。後方の建物(花巻小学校)の背後の山並みが早池峰山などがそびえる北上山地=花巻市花城町の病院跡地で)

 

 

 

 

 

《追記ー1》~よっぽど、”へそ曲がり”の人たちみたい!!??

 

 

 花巻市のHP上にふるさと納税新サービス「旅先納税」と銘打った商品が県内で初めて導入されたという告示が掲載された。電子商品券の名称は「はなまき星曲ぐりコイン」(私にはそう読めた)。賢治が作詞・作曲した「星めぐりの歌」にあやかったのだと思うが、何でもかんでも金品に結びつけてしまう、その魂胆が何ともさもしい。しかも、あの歌は星たちと「巡り会う」物語で、こんな低俗な”金権主義”とはそもそも相容れるはずがない。

 

 ふるさと納税はある意味で、他の自治体の税金を奪う制度だとも言える。「バルドラのサソリ」(『銀河鉄道の夜』初期形)は自分のいのちを他者に役立てたいと願う。賢治を利用したと思われる今回のネーミングはこうした利他の願いに真っ向から反しているのではないか。「感性」の欠如はこんな形でひょいと、その素顔を見せるものである。賢治の「星めぐりの歌」は『双子の星』の中などで歌われる。掲載記事は以下から。

 

共同記者会見用資料_ふるさと納税新サービス「旅先納税(R)」を岩手県内で初めて導入します (PDF 1.3MB)新しいウィンドウで開きます

 

 

《追記―2》~「世界がぜんたい」

 

 賢治ファンを名乗る方から以下のようなコメントが寄せられた。「なるほど」と合点した。

 

 「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と言った宮沢賢治をことごとく利用している花巻市。国が認めた制度とは言いながら、ふるさと納税の一分類である旅先納税に、こともあろうに賢治さんの作った「星めぐり」をネーミングに使って、全国自治体の住民の福祉向上に使われるはずの税金をかすめ取ろうとしている姿に、草葉の陰でどのように思っているのでしょうか。

 

 

《追記―3》~ダメなのですか!?

 

 今回の「旅先納税」が盛り上がっている。今度はふるさと納税ファンを名乗る方から以下のようなコメントが寄せられた。ふるさと納税の獲得競争のためにここまで賢治を利用するのか。このおぞましさに思わず、のけぞってしまった。

 

 花巻市が使っているふるさとチョイスで、次のようなふるさと納税がありますが、だめなのですか?宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の食事内容(玄米・味噌・野菜)を体験できるセット《雨ニモマケズ》「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」体験セット。賢治さんの窮乏の生活を体験できるふるさと納税がだめなのですか?

 

https://www.furusato-tax.jp/product/detail/03205/4785273

 

 

 

 

 

 

<「まるごと賢治」コ―ナ―の設置~まばゆいばかりの”人脈図”> ~IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)の実現を目指して(その1)

  • <「まるごと賢治」コ―ナ―の設置~まばゆいばかりの”人脈図”> ~IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)の実現を目指して(その1)

 

 2年前、花巻城址と背中合わせだった旧花巻病院の病棟群が解体され、目の前に広々とした空間が現れた瞬間、まるで宮沢賢治がこの地に降臨したのではないかという錯覚を覚えた。賢治がこよなく愛した霊峰・早池峰がキラキラと輝きながら、雲間に浮かんでいた。その足元の病院跡地にはかつて、賢治が教鞭を取った稗貫農学校(花巻農学校の前身)が建っていた。「日ハ君臨シ/カガヤキハ/白金ノアメ/ソソギタリ…」―。市民の歌として親しまれている「精神歌」(賢治作詞)は、”桑っこ大学”の愛称で呼ばれたこの校舎でうぶ声をあげた。

 

 IHATOV・LIBRARY(「まるごと賢治」図書館)構想はこんな情景の中から、まるでそうあるべきだという風な自然な形で姿を現した。「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治は自らを“現象”と位置づけているから、言ってみれば永遠に不滅の存在である。そんな賢治を“実験”してみたいと思う。以下にこの構想を素描する。

 

 

 

 賢治を「師」と仰いだ人材は世界各国にキラ星のように存在する。例えば、原子物理学者の故高木仁三郎さんが反原発運動の拠点である「原子力資料情報室」を立ち上げたのは賢治の「羅須地人協会」の精神に学んだのがきっかけだった。また、アフガンでテロに倒れた医師の中村哲さんの愛読書は『セロ弾きのゴーシュ』で、絶筆となった自著のタイトルはずばり『わたしは「セロ弾きのゴ-シュ」』ーだった。さらには、シンガーソングライターの宇多田ヒカルのヒット曲「テイク5」は『銀河鉄道の夜』をイメ-ジした曲として知られる。

 

 一方、戦後最大の思想家と言われた故吉本隆明さんに至っては「雨ニモマケズ」を天井に張り付けて暗唱していたというから、「賢治」という存在がまさに、“エイリアン”(宇宙人)のように思えてくるではないか。こうしたほとばしるような「人脈図」がひと目で分かるようなコーナーを設置し、賢治という巨木がどのように枝分かれしていったのかーその思想の全体像を「見える化」したい。

 

 「夢のような一幕物語から始めたい」―。宇宙物理学者で賢治研究家でもある故斎藤文一さんの著『愛と小さないのちのトライアングル』(2007年)の書き出しはこう続く。「イ-ハト-ブという名の地に三つのいのちが集まったという話である。三つのいのちが一つになり、楽器になった。やがてその調べは小さな物語となり、波となり、まわりに共鳴の輪を描き、風をはらんで広がった。どこまでも」―。サブタイトルには「宮澤賢治・中村哲・高木仁三郎」の名前が記されている。3人が奏でる“イーハトーブ交響曲“が文中から聴こえてくるような気がする。以下のような美しい歌声とともに…

 

 「イ-ハトヴとは一つの地名である。強て、その地点を求むるならば、大小クラウスたちの耕していた、野原や少女アリスが辿った鏡の国と同じ世界の中、テパ-ンタ-ル砂漠の遥かな北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。実にこれは著者の心象中に、この様な状景をもって実在したドリ-ムランドとしての日本岩手県である」(『注文の多い料理店』広告チラシ)―。賢治は自らの理想郷(イ-ハト-ブ)を称して、ずばり“夢の国”(ドリ-ムランド)と呼んでいる。私はこの地に「賢治ワ-ルド」をいっぱい詰め込んだ“夢の図書館”の実現を夢見ている。

 

 

 

 

《註》~今こそ、真の図書館論争を!!??

 

 「駅前か病院跡地か」―。新花巻図書館の立地場所の選定が最終段階に入り、12月中旬までにはどちらかに決まる見通しになった。しかし、「どこに」という“立地論争”が先行する余り、肝心の「どんな」という図書館像をめぐる論議が置き去りになった感がぬぐえない。駅前立地を主張する市側は「賢治コーナー」を新たに設置するとしているが、これまでなかった方が不思議というもんである「IHATOV・LIBRARY」ではベートーベンを気取ったあの賢治とあちこちで遭遇すること請け合いである。銀河宇宙からひょいと舞い降りた、おらが賢治さんと…

 

 

 

 

(写真は稗貫農学校で教鞭を取っていた当時の賢治=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

《追記―1》~パワハラとカスハラの”両刀使い”はどうするの…市民に対する逆「カスハラ」!!??

 

 

 賢治が建国した「イーハトーブ」の当代盟主、上田東一市長はパワハラの常習犯として知られるが、6月定例市議会ではその返す刀で「あるブロブは全部ウソだ」と発言。当ブログを名指しするかのようにまさに「カスタマーハラスメント(カスハラ)」(職員への暴言、不当要求などの迷惑行為)まがいの”嘘つき”暴言を浴びせた。

 

 ところで、21日付「岩手日報」は一面トップで「カスハラ 県内19市町村が対策」とデカデカと報じた。当市も名札の表記変更などの対策を取っていることを知った。思わず、「ケッ」と笑った。ハラスメントなどの公益通報制度を定めた当市の「不正防止に係る内部通報に関する規程」は通報者の名前が市長に筒抜けになるザル法同然だったこと明らかになった(16日付当ブログ参照)。そういえば、「うそ八百」発言の兵庫県知事自身のウソも日々、暴露されている。彼方からも此方からも目を離せない。

 

 

 

 

機能不全の「公益通報」制度…全国各地で不祥事、相次ぐ~そして、足元でも「助けてください」とSOS!!??

  • 機能不全の「公益通報」制度…全国各地で不祥事、相次ぐ~そして、足元でも「助けてください」とSOS!!??

 

 「勇気を出し切れず、匿名でしかご連絡できないことが申し訳ないです。現在、職員の多くが自信をなくし、仕事へのモチベ-ションも、将来の希望も失っている状況になっています。市長はよく『市役所の職員はレベルが低すぎる』、『小学生の算数もできない」、『馬鹿すぎる』などと職員を罵ります。市職員は決して無能ではありません。このままでは、有能な職員ほど状況を悲観し、やめていってしまいます。どうか一刻も早く、この地獄のような状況が変わる一助になればと、今回連絡いたしました。多くの職員が苦しんでいます。どうか助けてください。お願いします」(要旨)―。さかのぼること4年前の2020年3月6日付で、花巻市職員を名乗る方からこんな悲痛な訴えが寄せられた。

 

 「なぜ、私の元に?」―。今般の兵庫県知事や鹿児島県警本部長など行政トップによる“内部告発”潰(つぶ)しを目の当たりにし、通報者(内部告発者)の不利益を防ぐ目的で制定された「公益通報者保護法」(平成16年)が果たして、きちんと機能しているかどうか不安にかられた。そんな時、ふいに冒頭の「SOS」発信が頭によみがえったのである。本市が同法にならって「不正防止に係る内部通報に関する規程」を定めたのは平成27年8月。それによると、ハラスメントに係る不正などを含めた事案の通報先は市長直轄の「内部通報窓口」(総務課)とされ、「直ちに市長(市長が認めた場合及び市長を被通報者とする内部通報の場合は副市長)に報告しなければならない」(第6条)と定められている。

 

 パワハラなどを内部告発した兵庫県の元局長はその内容が「うそ八百」だと主張する斎藤元彦知事によって逆に懲戒処分に処せられ、その後、本人は「死をもって抗議する」という遺書を残して自死している。日本経済新聞の社説はこう書いている。「自治体では首長が非常に強い権限を持つ。だからこそ、公益通報の仕組みが十分に機能するようにしておくことは、公正な行政を担保するうえで重要だ。疑問の一つは告発が公益通報に当たるのではないかという点だ。公益通報者保護法は通報先として企業や行政機関の公益通報窓口だけでなく、報道機関など外部への通報も認めている。公益通報に当たるなら通報者の不利益な取り扱いは禁じられる」(13日付)

 

 監督官庁の消費者庁は令和4年6月「通報対応ガイドライン」を改正し、以下の条項を新設した。「各地方公共団体は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとること」―。つまり、通報者と被通報者との「利益相反」を完全に排除するよう配慮を求め、その双方の「独立性」についても触れているが、当市の現行規程ではまだ、そのままになっている。

 

 一方、隣市の「北上市公益通報規則」(令和4年12月改正)は国のガイドラインに従い、「内部公益通報対応業務従事者」を設置することを定め、こう規定している。「内部公益通報対応業務従事者は、自らが当事者となる内部公益通報に関与してはならず、当該内部公益通報において自らが当事者となることが判明した場合は、速やかにその旨を内部公益通報管理者に申し出なければならない」(第5条)。また市長への報告についても原則として、「内部公益通報者を特定させる事項は報告しない」(第9条)と通報者を保護する方向を明らかにしている。

 

 上田東一市長の“パワハラ”疑惑は現在に至るまで庁内のあちこちでささやか続けている。最近も中堅職員が長期休暇に追い込まれたという情報が寄せられた。4年前の「SOS」発信もトップに筒抜けの現行規程を恐れてのことだったのかもしれない。兵庫県の悲劇を繰り返さないためにも、庁内にすがすがしい「新しい風」(上田市長の公約)を吹けせてほしいと願う。

 

 

 

 

(写真は兵庫県知事をめぐる「公益通報」制度の危機を報じた記事=7月12日付「朝日新聞」より)

 

 

 

 

《追記―1》~「パワハラ」知事は辞めろ!!??

 

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題を巡り、兵庫県庁舎(神戸市中央区)の前では19日、有志らが知事に辞職を求める抗議集会を開いた。SNS(ネット交流サービス)で集まった約100人の市民らが横断幕やポスターを手に「知事は辞めろ」と声を上げた。

 

 この日は、元局長の告発内容の真相を解明する調査特別委員会(百条委)が県議会で開かれている。集会を呼び掛けた兵庫県西宮市の無職、八木和美さん(71)は「問題を自分の言葉で説明せず『県政を前に進める』と繰り返す知事は情けない。職員が亡くなったことは県民として悔しく、知事には責任を取ってほしい」と訴えた(19日付「毎日新聞」電子版)

 

 

 

《追記ー2》~議会中継へどうぞ

 

 新花巻図書館や総合花巻病院などをめぐる市政課題が議会内部でどのように議論されているのか、以下のアドレスから議場へ入場できます。議員活動を外部から監視するためにもどうぞ。6月定例会の一般質問でこの案件の双方かいずれかを取り上げた議員は以下の通り(敬称略)。なお、上田市長の”嘘つき”発言は18日の議案審議における伊藤議員の質問に対する答弁の中に出てきます(2,56,28時~)。また、花巻病院の”裁判沙汰”を問うた羽山議員の質問の最後の場面には上田市長の反問権の乱用ぶりが映し出されています。

 

・伊藤盛幸(10日、緑の風)

・阿部一男(13日、社民クラブ)

・照井明子(同、共産党)

・羽山るみ子(同、はなまき市民クラブ)

・鹿討康弘(14日、緑の風)

 

 

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