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気密の話

今回から気密性能について考えていきます。



断熱性能と気密性能は、切り離せない性能なのは以前にも何度かお話しました。

2009年に施工された改正省エネ法から「次世代省エネルギー基準」のうち、気密性能
の表記義務がなくなりました。
[今までのⅠ・Ⅱ地域のC値(相当隙間面積)=2c㎡/㎡以下、Ⅲ地域以南のC値=
5c㎡/㎡以下という気密性能が、全く問題外の低いレベルで、これから求められる住宅
性能とは、かけ離れていることから削除されたと聞いております。]

しかしながら省エネの観点からも気密性能の大切さは少しも変化していませんし、限り
なくゼロに近い気密性能が求められていくものと考えられます。
ではなぜ、それほどまでに気密性能が大切なのか、それは、暖房温度や暖房日数に違い
はあっても、我が国ではⅠ地域からⅤ地域までの、ほとんどの地域で冬期間は、暖房を
必要としているかでしょう。

高断熱技術により省エネルギー化も可能になっていますが、冬の暖房、夏の冷房エネル
ギーというように、人口比が最も大きいⅢ・Ⅳ・Ⅴ地域では、常に冷暖房を必要としな
い中間期が数か月と短く大体は、冷暖房のどちらかのエネルギーが必要となります。
夏の冷房効率を考えても、床面積1㎡当たりで5c㎡/㎡もの隙間がある場合、エアコン
で、冷やされた室内に、隙間から湿気を含んだ暖かい外気が、容赦なく侵入して来て
エアコンはフル運転の状態が続き冷房費がかさむと言ったことが起きかねません。
[暖房空気は膨張して外に逃げようとしますが、冷房空気は熱気球とは逆の現象で室内で
縮んで外部から暖湿気を呼び込んでしまいます。]

住宅の冷房負荷を削減する技術は、日射遮蔽や通風などの自然の力を利用するにも限界が
あり、どうしても機械力に頼らざるを得ない場合が多く、冷暖房効率を上げるためには、
室内を密閉する気密がますます重要になります。

今回はここまで・・・次回に続くです。
2013.10.26:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

繊維系断熱材、グラスウールの使い方

グラスウールは、ヨーロッパや北欧で多く使用されています。

ヨーロッパでは、日本のように高温多湿ではなく、寒冷な乾燥した気候が特徴ですから、
グラスウールを施工してもあまり問題が起きないのだそうです。

むしろ無暖房住宅などの断熱材を大量に使用する工法には、価格的に安いグラスウール
が適しており断熱性能と共に防音性能などもあり様々利点があります。

我が国の場合には、梅雨や夏の熱帯雨林並みの湿気で、グラスウールの採用には細心の
注意が必要なのは、以前にもお話したとおりです。

我が国にグラスウールが導入された当初は、暖房の石油ストーブで燃焼した以上の水分を
室内にまき散らしていましたし、防水シート等の施工も行われていませんでした。

また開口部も一重ガラスのアルミサッシでしたので最悪の条件でグラスウールが導入され
ました。そのために新築3年後に、床が抜けおちるなどの被害でました。

その後グラスウールの性質や施工法も開発され、ヨーロッパから蓄熱式暖房機の導入や
オール電化など結露の発生を大幅に防ぐことができ、グラスウールの施工法も確立されて、
住宅を腐らせるようなことは少なくなっています。

前にもお話しましたが施工法さえ間違えなければグラスウールにも防音性能など様々な
利点はあるのです・・・・・
2013.10.20:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

グラスウールの施工には、注意が必要2

前回の続きで、「繊維系断熱材特にグラスウールの施工には、注意が必要」のお話です。

次世代省エネルギー基準(1999年)が施工され、住宅は高性能化の時代となり
グラスウール断熱材も16㎏厚さ100mmの物が一般的に使用される様になりました。

しかしながら、せっかく性能の良い断熱材を使用してもグラスウールの場合いは特に
しっかりとした施工を行わなければなれません。なぜかと申しますと、以前にも
お話申し上げましたが、グラスウールには、吸水性がありますので内部結露の対策を
しっかりしておかないと断熱性能の低下だけでなく土台・柱などの躯体を劣化させ住宅
の寿命を大きく縮めることにもなりかねません。

(よく御存じ方が多いとは思いますが、ここで内部結露のお話を)

内部結露は、表面結露とは異なり目に見えない結露といわれます。それは壁の中や
天井、床下などの断熱材の中で結露するからです。

窓ガラスなどに結露する表面結露は、ふき取ることが出来ますが、内部結露はそれに
よって住宅が腐ったりして被害が出て初めてわかると言った厄介なものです。
下の図は、冬の内部結露(壁体内結露)を表したものです。



冬の結露


この様なことが起きないよう室内の水蒸気量を十分に注意して結露が発生しない暖房と
壁の中に湿気を侵入させない気密施工・それに加えて開口部性能の強化が重要ですね。

それから、結露は冬だけに起きる現象ではありません。
エアコンを使用する事で、夏の逆転結露が起きる可能性もあります。

逆転結露とは、エアコンで、冷やされると外気に含まれる湿気が断熱材の中や
壁面で結露起こす現象です。

外部の通気層がしっかり施工されていれば、通気層内で蒸発し直接的には被害は
少ないようです。



夏の逆転結露
2013.10.12:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

グラスウールの施工には、注意が必要

  • グラスウールの施工には、注意が必要
繊維系断熱材、特にグラスウールの施工には、注意が必要!!

 省エネルギー基準(1980年)当時の断熱材は、グラスウールが、
主流でした。

 残念ながらその当時の住宅は、断熱材が導入された初期の段階
で断熱を行うためには気密施工が重要なことも、多くの施工店は知
りませんでした。開口部(窓)の性能もアルミサッシの一重窓と言う
ように、住宅の高断熱・高気密という施工法も確立していたとは言え
ない状況でした。

 現在、断熱改修を奨励している住宅は、丁度30年ほど前に建て
られた住宅で、我が国の住宅余命からは、建て替えが必要だとされ
る住宅です。

 断熱改修を行うにも建て替えを行う場合もグラスウールを採用
する場合は、気密性能を検討する必要がありますね。

 グラスウールの施工法については、断熱改修や新築を依頼した
施工店に十分検討してもらうことが大事です。

グラスウールは、施工方法を間違えなければ何も問題のない
断熱材なのですが・・・
 
冬の壁の中の結露や夏の逆転結露などなどについては次回に・・・

2013.10.05:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

断熱材の選択

  • 断熱材の選択
前回までは、断熱材の種類とその特徴についてお話してきました。

では、その断熱材のうちどの断熱材を選んだらよいのでしょう。

基本的には、住宅用の断熱材として実績のあるものであれば、どんな
断熱材を選択しても、施工が正しければ問題はありません。

(ただし、内断熱や外断熱のように工法によっても向き不向きがあり
ます。)

地域の特性に合わせて無理なく住宅の性能を引き出せる断熱材の選択が、
重要です。

繊維系の断熱材の場合、吸水性が問題となる場合が多いようですが、
繊維系の断熱材を使用してもその性質をしっかり理解して防水(防湿)や
透湿などの施工が正しく行われていれば良いかと思います。

(改修や設備の増設など建てた後の工事で防湿層を破らないことも注意が
必要です。)

断熱材の規定がなくなり、どんな物も断熱材として使用できるようになり
ましたが、断熱の素材にはそれぞれに特徴があります。それをよく認識
して選択することが必要です。

[温熱性能をより高い物とし耐久性にも優れた高性能な住宅とするためには
単純に断熱材の選択だけではなく、様々に工夫された断熱工法とその性能
を最大限に生かす断熱材を選択することが重要です。]

猛暑と寒冷という二重気候をコントロールすることが必要である我が国だからこそ、
断熱工法とそれに合わせた断熱材の選択、それからしっかりとした施工が重要となります。



私どもがご提案する工法は、冬季に適した「外断熱」と夏季に適した「二重通気」の
相乗効果により、一年中快適に過ごせる〈ソーラーサーキットの家〉です。

詳しくは、県内三か所(利府・名取・岩沼)のモデルハウスへご来場ください。

2013.09.29:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]