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燃焼器具による室内空気汚染と防止 その4

先週に引き続き、燃焼器具による空気汚染と防止についての記事です。

(換気による有害物質の排除・異臭の測定について・化学物資の匂いの特徴)

 

換気による有害物質の排除

高断熱・高気密住宅は、冷暖房機器の熱負荷軽減から、省エネルギーを目指す国の要請に応えた住宅です。

正しく施工されていれば、省エネで快適な空間を提供できるはずでしたが、様々な施工上の問題やアルミサッシなどの素材の問題から結露の発生を引き起こし、住宅の耐久性を弱め、カビやダニが発生して、住宅が引き起こす病気などが問題化されてきました。

このような結露の問題と共に、高気密による室内の空気汚染や建材、接着剤などに含まれる化学物質ホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)など、住まいにおける健康を阻害する様々な要因がクローズアップされてきました。

これからの結露・カビ・ダニ対策とVOC対策が、健康住宅の大きなテーマとなっています。

生活の中で生じる余分な水蒸気・粉塵や生物的汚染物質を、人体に悪い影響を及ぼさないように排除し、新鮮な外気を供給し住まいと人の健康を守るのが計画換気です。

健康住宅と「高断熱・高気密・計画換気」は密接な関係にあります。

室内の有害物質の排除は、なるべく有害物質を発生させない素材を使用することと、計画的な換気でしか解決出来ません。

 

 

異臭測定について

空気汚染の一種である科学的な測定が困難で臭気の測定は人間の鼻で行います。

この様な測定方法では個人差が大きく、測定者の状態によって異なった結果が出てしまいます。

個人差を防ぐために臭気測定は、ヤグローによって提唱された下記の指数が使用されます。

 

化学物質の匂いの特徴

化学物質には特有の臭いがあります。その臭いによって、どのような化学物質かを判定することもありますから、嗅いだことの無い臭いがしたときは、すぐにその場を離れハンカチなどで鼻と口をふさぎ、呼吸で体内に入れないようにする事が重要です。

化学物質の臭いがする場合は、格納容器やプラントから漏れ出している場合が多く「悪臭防止法」表・1が定められています。

上記の臭いは瞬間的な判断の目安にして下さい。

物質を判断するために嗅ぎすぎるとVOC(揮発性有機化合物)の中毒になる場合もありますから、原因をつかむよりも臭いから離れるように行動し、対応は専門家に任せて下さい。

 

2018.10.14:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

燃焼器具による室内空気汚染と防止 その3

先週に引き続き、燃焼器具による空気汚染と防止についての記事です。

(一酸化炭素とヘモグロビン・二酸化炭素の問題点)

 

一酸化炭素とヘモグロビン

先も述べたように、一酸化炭素の恐ろしさは、どんなに酸素があっても一酸化炭素が発生していると体内に血液を運ぶヘモグロビンが一酸化炭素と先に結び付いて、一酸化炭素中毒を引き起こしてしまうのです。一酸化炭素中毒になるといくら呼吸をしても酸素が体内に運ばれなくなりますから、まず最も酸素を必要とする脳がダメージを受けて意識が混濁し倒れ、そのままにしておくと窒息死と同じように死に至ります。下の表・1がその経過です。

酸素欠乏症とは

空気中の酸素濃度が10%未満の空気を「酸素欠乏空気」といいます。この酸欠空気を吸入したときも、一酸化炭素中毒と同じように窒息病状をを示します。

 

二酸化炭素の問題点

地球温暖化の現況とされる二酸化炭素は、植物にとっては光合成(炭酸同化作用)によって養分を作り出すために必要なものです。

また光合成の過程で二酸化炭素を酸素に変える働きがあります。森林の伐採が二酸化炭素増大の原因であるという事もこれによって理解できるでしょう。

二酸化炭素は大気中に約400ppm含まれ、燃焼中の炭素成分が完全燃焼したときに発生します。人間が一回呼吸するごとに吐き出す二酸化炭素は約4万ppmで、大気の100倍の濃度の二酸化炭素を排出しています。

室内の空気汚染の度合いは、この二酸化炭素濃度を計測することで知ることができます。

室内濃度が10000ppmを超えると健康上悪影響を及ぼすといわれ、規制値は1000ppm以下とされています。

一酸化炭素ほど怖いものではありませんが、地球温暖化の大きな原因物質にもなっています。

 

 

 

2018.10.07:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

燃焼器具による空気汚染と防止 その2

今週は先週の続きの記事で、一酸化炭素の危険性についてです。

 

燃焼中の部屋で酸素が欠乏してくると今度は不完全燃焼が始まり、恐ろしい一酸化炭素中毒を起こしてしまう危険性があります。

そのメカニズムは一酸化炭素とヘモグロビンの性質にあります。血液中のヘモグロビンは、体内に酸素を運ぶという重大な役割をします。

ヘモグロビンは、肺に吸入した空気中の酸素と結びついて酸素を体内に運びますが、一酸化炭素は酸素よりも約250倍もヘモグロビンと結び付く力があります。

一酸化炭素が恐ろしいのは、酸素が充分にあっても一酸化炭素が発生すると血液中のヘモグロビンが酸素よりも一酸化炭素と先に結びついてしまい、充分に酸素があっても一酸化炭素中毒を引き起こしてしまうことです。

 

続きはまた次週になります。

2018.09.30:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

燃焼機具による室内空気汚染と防止

今回は、燃焼機具による室内空気汚染防止についての記事を紹介します。

住環境を汚染する物質やその汚染の防止方法について考えみましょう。室内汚染を起こす最大のものは、暖房に使用される燃焼機具です。室内で使用できる石油ストーブは、最低でも室内空気を燃焼に使用しないで、排気を室外に放出FF型ストーブ以外は使用できません。と言っても、未だに室内空気を燃焼させる石油ストーブが暖房の主流です。この様な装置がいかに危険なものかお知らせしたいと思います。

 

暖房器具による室内汚染の防止

燃焼の仕組みは、科学的には物質が多量の光と熱を発して、酸素と化合する現象を言います。燃焼の仕組みは難しい要素が多く、科学的にも解明され尽くしたとは言えないのが現状です。広義には、物質が酸化することも燃焼ということが出来ます。燃焼後の灰などを見ると燃焼すると物体が消滅するように感じられますが、物質が急激に酸化し、分解されて姿を変えるだけで燃焼しても物質量は変わりません。

灯油の場合には、1L燃焼すると二酸化炭素を13m3水蒸気を約1,100g放出します。したがって目には見えませんが、室内で石油ストーブを燃焼させることは、石油を燃焼させた分以上の水分を水蒸気として、ばらまいていることになります。その水蒸気が窓ガラスや壁で結露したり、空気中のゴミを含んで室内を浮遊しています。石油ストーブを焚き続けていると年々壁が黒ずんで薄汚れてきますが、それが空気中に放出された石油の水蒸気に吸着されて壁に張り付いた室内に浮遊していたゴミです。室内環境は確実に悪化していきます。

 

2018.09.23:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]

住宅の快適性能を保証する基本的な性能

住環境に求められる基本的な性能は、長寿命省エネルギー健康快適の4つの性能に要約できます。

 

○ 長寿命性能とは

壁体内結露を抑え、建替えサイクルが長い長寿命の住宅で、住み替え需要にも応えることができ資産価値を高める。

 

○ 省エネルギー性能とは

高断熱・高気密化により、保温性が高く冷暖房コストを節約。年間ランニングコストが少ない省エネルギー住宅。二酸化炭素の大幅削減で地球温暖化防止にも貢献。

 

○ 健康住宅性能とは

住宅の温熱環境と空気質環境を整え、ヒートショックやシックハウス症候群、アレルギーやアトピーなどを予防。

 

○ 快適住宅性能とは

冷暖房時に窓を閉めたままでも、24時間計画換気で常に室内のよどみをなくし、夏・冬ともに部屋間に温度差が無い快適な住空間。

 

以前にもご紹介した内容ですが、これからの住宅を考えていくうえで、基本となる大事な考え方です。

先進のビルダーはこの考え方をもとに、更なる技術開発に取り組んでいます。

 

2018.09.16:m-seino:コメント(0):[清野 光芳/レポート集]