histoire

▼無題N

抱き続けたこの想いも
深みへ誘う幸福な夢も
沈む今日の満月にのせて
ホントは沈めるものなんだって
君が教えてくれたんだ

夕闇に染まっていく窓の空を
恐れた幼い小さな私に
藍の意味を教えてくれたんだ
小さな小さな声だったけど

少しずつ小さくなっていく君を
恐ろしく思った私のように
君も恐れていたことを
気付いたのはあまりに遅くて
僕の声など届かなくなってた

真っ白な壁紙に撒き散らされた
スプレーみたいに
踏み荒らされた君の心は
何処へ向かったのだろう

もう二度と
触れることすら叶わなくても
もう一度声が聞きたくて
少しだけ強く手を握ったんだ

開かれた瞳に写ったものはなんだったのか

小さな小さな声は泡雪

けして紡がれぬ最後の言葉

僕は確かに聞きとったのだろうか…
2005.07.17:sasa

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