朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報
国指定重要文化財「佐竹家住宅」は、最上川の舟運が盛んだった頃の大庄屋の住居です。大庄屋を務めた佐竹長右衛門家は、米沢藩に通船差配役を任命された家柄で、大淀村から川通村までの、船子(水主)雇い、綱手道の管理、梁仕掛けの管理、破船の救出における人足割り当て、払い米(濡米)の世話など、安全な通船を図る仕事をしていました。現在の建物は、元文5年(1740)に建てられたもので、山形県内陸部における上層農家の現存する建物としては保存の状態がよく、歴史を知る貴重な民家です。
※現在も佐竹さんご家族がお住まいです。見学の申し込みは、エコミュージアムルーム Tel0237-67-2128が窓口となっております。直接佐竹さんに申し込みされないようお願い致します。また、毎年見学会も催されていますのでお問い合わせ下さい。 →佐竹家住宅について/鈴木治郎氏(pdf) →佐竹家住宅見学会 →アクセスマップはこちら |
朝日町は、山形県の中央部に位置し、磐梯朝日国立公園朝日連峰が町西部にどっしりと控え、町の中心部を母なる最上川がゆっくりと流れています。面積は200k平方メートル、人口は8600人の中山間地域の自然豊かな町です。最上川の河岸段丘には肥沃な農地が広がり日本一おいしいといわれるりんごの生産地としても有名です。朝日町は、自然だけでなく、国の名勝「大沼の浮島」や国の重要文化財「佐竹家住宅」などもあり、歴史的にも文化的にも豊かで、非常に魅力のある町です。そんな町で日本初のエコミュージアムが生まれました。
|
朝日町でエコミュージアムを取り組むきっかけになったのは、町にある自然を活かし、共生できるような観光地づくりを目指しはじまった1988年の町営の朝日山麓家族旅行村「朝日自然観」の建設でした。自然観は、夏はブナ林の自然を体験するキャンプ場やコテージ村、冬はスキー場として、多くの人々を朝日町に呼び込みました。
そんな中、町づくりを町だけに任せるのではなく、町民自らも関わり、なにか協力しようという気運が盛り上がり、自然観の目玉に世界でも類をみない「空気神社」の建設になったのです。豊かな自然と空気に感謝するこのモニュメントは、ブナ林の中に、5m四方のステンレス板を鏡に見立てて置いたものです。四季折々の風景がこの鏡に映り、空気への感謝をよりいっそう強く感じさせてくれます。 この建設に呼応するように、朝日町は「地球に優しい町宣言」を行い、自然環境を大切にしていく町づくりを目指すことになりました。また、全国に先駆けて空気の日を国連環境デーの6月5日にすることを決め、毎年この日に空気に感謝する催しを行っています。こんな動きの中で、エコミュージアムの考え方が町の総合開発基本構想に取り入れられることになったのです。 |
エコミュージアムは、1970年代に国際博物館学会の会長であった フランスのアンリー・リビエール氏によって考えられた新しい博物館学の考え方です。エコミュージアムのエコはエコロジー。ミュージアムは博物館。この二つの言葉を組み合わせた造語で、それまでの博物館のように物を集めて建物の中で保存するのではなく遺産や文化財、自然物をそのまま現場に保存し、それを見てもらおうという博物館です。そのため、屋根のない博物館とか、町全体が博物館とか言われることもあります。定義では、エコミュージアムとは、住民と行政が一体となって、地域の生活、自然、文化などを歴史的に研究し、現地で保存、育成することによって地域の発展に役立つ博物館となっています。
|
朝日町では、このエコミュージアムの考え方を取り入れて、「第三次総合開発基本構想」を作りました。その中で「わが町に住む人々が、それぞれがこの町の文化、自然、生活に誇りを持ち、活かしながら、楽しく活き活きと暮らせる生活スタイルの確立を目指す」と書いています。
この総合開発基本構想を受けて、1991年に朝日町独自のエコミュージアム基本構想をまとめました。この構想で「エコミュージアムは、朝日町民にとって見学者であると同時に出演者であり、町はまるごと博物館になり、住民は誰でも学芸員になる」と書かれています。町を町民が良く知り、そのことにより、誇りを持って生活できる町づくりを提案しています。 そのため、町の自然、文化、産業、各々の遺産の中から、大切なものを選び、サテライト、すなわち現地見学場所として取り上げています。 |
朝日町エコミュージアムのインフォメーション「エコミュージアムルーム」は、朝日町エコミュージアムコアセンター「創遊館」内にあります。
ここでは、サテライト(見学場所)を訪ねたい方の相談にのっています。詳しい情報や資料を求められるほか、エコミュージアムに関する出版物の販売、案内人の手配、宿泊場所のご案内、またエコミュージアムに関するいろいろなもよおしも実施しています。 また、併設するエコミュージアムコーナーでは、朝日町についての展示や、パソコン「ミューズ・デポ」や「あさひまちの宝箱」で、楽しく朝日町の概要や宝を知ることができます。 サテライト(見学場所)を訪ねる前の下調べにぜひお立ち寄り下さい。 所在地 : 朝日町宮宿2265 朝日町エコミュージアムコアセンター「創遊館」1階 電 話 : 0237-67-2128 ※エコミュージアムルームの管理・運営は、NPO法人朝日町エコミュージアム協会が、朝日町より受託し、町予算を充て実施しております。 |
→椹平の棚田とヒメサユリ/宮本建一
→侍の気分で城址めぐり/宮本建一 →八ツ沼の歴史を探ねて/宮本建一 →八ツ沼七不思議めぐり/宮本建一 →用のはげの絶景を見る/堀 茂 →朝日川まるごと体験/堀 茂 →明鏡橋周辺の魅力を訪ねる/堀 敬太郎 →秋葉山交遊の森探訪/堀 敬太郎 →大谷のご朱印寺社めぐり/堀 敬太郎 →中世城址跡と三角点めぐり/堀 敬太郎 →五百川峡谷難所めぐり/堀 敬太郎 →大谷川流域を訪ねる/堀 敬太郎 →川行(かわづら)街道/堀 敬太郎 →五百川峡谷水運の歴史をしのぶ/若月啓二 →国重文 佐竹家住宅/佐竹恒雄 →大谷の白田氏と天神様/白田健二 →お薬師様の新宿ハイキング/長岡秀典 →高田いいとこめぐり/佐竹啓次 →奥自然観満喫ウォーク/松田勝美 →朝日鉱泉周辺の自然と歴史/西澤信雄 →蜜ろうそく工房と養蜂場/安藤竜二 ※詳しい内容についてはお問い合わせ下さい。 →案内人の会利用料金 |
朝日町の次世代へ残したい心の宝(自然や文化・歴史などあらゆる分野の有形無形にこだわらない)をいつでも募集しています。これまで、およそ1000点の宝が報告されました。
これらの宝は、エコミュージアム調査の手がかりとして大変活用させていただいております。郷土学習や観光・産業づくりのヒントにもなりそうです。 宝名とその理由やエピソードを、メールやファックスでお寄せ下さい。エコルーム前に投函用「宝箱」も設置しております。 ※写真の宝報告ファイルはエコルームで閲覧できます。 |
■棚田100選に選ばれた「椹平の棚田」
■世界類いまれな「空気神社」 ■国の名勝 神秘の「大沼の浮島」 ■近代土木遺産のアーチ橋「旧明鏡橋」 ■国内最長!元禄の大土木工事「最上川舟道」 ■国内最大級の原生自然「大朝日岳山麓」 ■最上川の心臓部「五百川峡谷」 ■朝日町の遠野 八ッ沼の「七不思議伝説」 ■日本初の旧石器発見の地「大隅遺跡」 ■県内唯一の柱根縄文遺跡「上川原山ノ神縄文遺跡」 ■日本初の「蜜ロウソク工房」(体験可) ■県内唯一明治の三階建木造建築「旧三中分校」 ■最上家・上杉家と戦った「中世城館跡」 ■菅原道真の子孫が移り住んだとされる「大谷」 ■奥自然観満喫ウォーク「ほうきブナと大朝日岳」 ■ため池100選に選ばれた「大谷のため池群」 |
町民から寄せていただいた宝報告書(約1000点、現在も募集中)をデータベースに、大テーマに精通する町民の皆さんや関係する機関からの聞き取り調査を主にしています。学術面では朝日町教育委員会や各分野の学術者の皆さんに、ご協力をいただいております。
調査報告はエコミュージアムノートやガイドブックに編集しています。 →エコミュージアムノート(PCサイト) |
調査事業で知り得たことについて、どうすればより伝えることができるかを考え実施しています。シンポジウム・ワークショップ・見学会・展示・出版・案内事業などを主にしており、実施にあたっては、調査事業でご協力いただいた精通なさる住民のみな様、朝日町教育委員会や学術者のみな様を講師としご協力をいただいております。
※写真は青苧はぎ体験会 講師/和田新五郎さん(大谷) →エコミュージアムの催し(PCサイト) →IQアプリで宝カルタ大会 |
棚田百選に選ばれた「椹平(くぬぎだいら)の棚田」の田植えが終わる頃、一本松農村公園には町の花「ヒメサユリ」が満開の季節を迎えます。棚田の歴史や見どころを案内いたします。四季折々の棚田の風景も案内致しております。
案内人/宮本建一 |
All Rights Reserved by asahimachi ecomuseum
その後明治44年頃、地主だった武田甚内(山形市中野)が、県の果樹試験場から紅玉や大和錦の苗木を取りよせ植えましたが、やはり成功しませんでした。その園地は、当時管理をしていた菅井勝治郎氏が借り受け、現在もその時の紅玉の木が残されています。
そして大正10年頃、ついに新宿の今井伊太郎が栽培を成功させました。和合釜山の園地も、借り受けた菅井勝治郎が今井とも相談し、和合地区にあった栽培法を工夫し成功させることができました。戦後には町内各地でりんご栽培が行われるようになり、昭和40年代には、当時は困難とされた「無袋ふじ」の栽培を確立し、中央市場で高値をつけ、全国のりんご産地から注目されるようになりました。こうしてりんご栽培は名実ともに朝日町の基幹産業に育ったのです。
※参考/『朝日町史 下巻』(朝日町)
※写真 /『りんごの歴史』より抜刷 菅井敏一氏所有(菅井勝治郎家)
→朝日町最古のりんごの木