朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報
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高村光太郎の序文
序
此處には東北の冷害がある。北方の水の災が
ある。天をさす稲穂のなげきがある。そして
農民の低いが凄い言葉がある。人の決して忘
れてならないものがある。世を擧げて一つの
方向に全力を致せねばならぬ時、國に心の和
を最も貴しとして必ず之を守り通さねばなら
ぬ時、上ばかりを見て無思慮の強引を重ねる
のは危険である。低く生きて下を深く見る事
こそ銃後をまもる者の責任であり、しかも其
の透徹の甚だ難いことが嘆ぜられる。詩人は
機微を見る。寸言片語の間に底邊の全生活を
も把握する。この詩集の特殊の色調に人は目
をみはるであろう。人をして目をみはらしめ
る力を此の詩集が持ってゐる事を信ずる。
一冊の詩集も斯かる時深い洞察への道を人に
開くのである。
高村光太郎
※海野秋芳詩集『北の村落』より抜粋
※写真は原稿です。
→
夭折の詩人 海野秋芳
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開くのである。
高村光太郎
※海野秋芳詩集『北の村落』より抜粋
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