朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報
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五百川峡谷の水質浄化力
五百川峡谷の水質浄化力
佐藤五郎氏(米沢中央高校教頭)
〈五百川峡谷は最上川の心臓部〉
最上川には、狭窄部が5ヵ所あり、人が住む盆地部で汚れた水を浄化しています。なかでも「五百川峡谷」は、最上川最大の峡谷部。難所中の難所です。5ヵ所の中で、最も大きな蘇生力・浄化力を持つので、私は最上川の心臓部と考えています。五百川峡谷がなければ、今のような最上川の水質は維持できません。
〈五百川峡谷の水質浄化のしくみ〉
五百川峡谷には、白く波の立つ所がたくさんあるので、水質浄化に非常に効果的な役割を果たしています。それは、空気中の酸素を充分水に溶け込ましてくれるので、水に棲んでいるプランクトンや水生昆虫、魚にいたるまで、いろんな生物が活発に活動し、汚れを餌として食べてくれるからです。
〈五百川峡谷の水のきれいさ〉
(硫酸イオン値)最上川の水質で一番多く含まれるのは、源流部の硫黄鉱山から流れる硫酸イオンです。流下に伴い値は下がりますが、五百川峡谷ではかなり下がります。ペーハーは、酸性から中性に変わります。
(濁度)濁りは濁度計で測ります。米沢盆地を過ぎて南陽市から川西にかけて、濁りがピークになりますが、長井で白川が入ると希釈され、さらに五百川峡谷の明鏡橋付近にかけて濁りは特に下がります。上流で汚れた水が徐々に希釈され、息を吹き返して、見た目にもきれいに蘇生されるのが五百川峡谷といえます。
(TOC調査)汚れを燃やして出る二酸化炭素の量を赤外線で測定する調査です。米沢盆地の下流、下田橋や鳳来橋付近で汚れがピークに達し、五百川峡谷の明鏡橋のあたりにかけて一番下がります。
(COD調査)薬品による調査です。やはり、五百川峡谷の五百川橋や明鏡橋のあたりで最低の値になります。水質が最も良くなっています。源流部で水質を落として五百川峡谷で蘇っているのが分かります。
(過去40年間の水質)どの場所も1960〜70年代に高度経済成長であおりを受け汚れました。その後、工場排水の規制や法的にも改善され、1980年代に入ると下水道が普及し、汚れは改善されてきています。最上川の過去40年間のCODデータを、上流は鳳来橋、中流は明鏡橋、下流は庄内橋の3ポイントで比較すると、明鏡橋は常に最もいい値になっています。
〈五百川峡谷の水路の持つ効果〉
米沢藩の御用商人西村久左衛門が開削した五百川峡谷には、岩盤がすとんと凹んでいる水路が大江町にかけて続いています。現在、水路を測量していますが、水路は幅10〜20m、深さは2〜3mもあります。自然のものか、掘ったものかは、まだ分かりません。
私は、この数十キロにも及ぶ水路があることが、水質浄化に重要な働きをしていると考えています。それは、浅瀬も深みも同じ場所に存在するので、水生生物にとって好都合だからです。多様に生きられるのです。水路の中がどうなっているかは、今後水中カメラなどを使って確認する予定です。全貌を明らかにしてこの素晴らしい五百川峡谷を全国にアピールしたいと思っています。五百川峡谷はまさに朝日町の宝といえます。
取材 : 平成18年
佐藤 五郎(さとう ごろう)氏
山形大学教育学部卒業後、昭和44年(1969)米沢中央高等学校教諭着任、副校長を務める。最上川水系の水質調査を同校科学部で指導され、平成5年(1993)からは毎年ゴムボートで流下しながら水質や河川環境の調査を実施。現在は国土交通省最上川水系流域委員会委員、山形県環境アドバイザーなどの各種委員を兼ねている。著者多数。
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佐藤五郎氏(米沢中央高校教頭)
〈五百川峡谷は最上川の心臓部〉
最上川には、狭窄部が5ヵ所あり、人が住む盆地部で汚れた水を浄化しています。なかでも「五百川峡谷」は、最上川最大の峡谷部。難所中の難所です。5ヵ所の中で、最も大きな蘇生力・浄化力を持つので、私は最上川の心臓部と考えています。五百川峡谷がなければ、今のような最上川の水質は維持できません。
〈五百川峡谷の水質浄化のしくみ〉
五百川峡谷には、白く波の立つ所がたくさんあるので、水質浄化に非常に効果的な役割を果たしています。それは、空気中の酸素を充分水に溶け込ましてくれるので、水に棲んでいるプランクトンや水生昆虫、魚にいたるまで、いろんな生物が活発に活動し、汚れを餌として食べてくれるからです。
〈五百川峡谷の水のきれいさ〉
(硫酸イオン値)最上川の水質で一番多く含まれるのは、源流部の硫黄鉱山から流れる硫酸イオンです。流下に伴い値は下がりますが、五百川峡谷ではかなり下がります。ペーハーは、酸性から中性に変わります。
(濁度)濁りは濁度計で測ります。米沢盆地を過ぎて南陽市から川西にかけて、濁りがピークになりますが、長井で白川が入ると希釈され、さらに五百川峡谷の明鏡橋付近にかけて濁りは特に下がります。上流で汚れた水が徐々に希釈され、息を吹き返して、見た目にもきれいに蘇生されるのが五百川峡谷といえます。
(TOC調査)汚れを燃やして出る二酸化炭素の量を赤外線で測定する調査です。米沢盆地の下流、下田橋や鳳来橋付近で汚れがピークに達し、五百川峡谷の明鏡橋のあたりにかけて一番下がります。
(COD調査)薬品による調査です。やはり、五百川峡谷の五百川橋や明鏡橋のあたりで最低の値になります。水質が最も良くなっています。源流部で水質を落として五百川峡谷で蘇っているのが分かります。
(過去40年間の水質)どの場所も1960〜70年代に高度経済成長であおりを受け汚れました。その後、工場排水の規制や法的にも改善され、1980年代に入ると下水道が普及し、汚れは改善されてきています。最上川の過去40年間のCODデータを、上流は鳳来橋、中流は明鏡橋、下流は庄内橋の3ポイントで比較すると、明鏡橋は常に最もいい値になっています。
〈五百川峡谷の水路の持つ効果〉
米沢藩の御用商人西村久左衛門が開削した五百川峡谷には、岩盤がすとんと凹んでいる水路が大江町にかけて続いています。現在、水路を測量していますが、水路は幅10〜20m、深さは2〜3mもあります。自然のものか、掘ったものかは、まだ分かりません。
私は、この数十キロにも及ぶ水路があることが、水質浄化に重要な働きをしていると考えています。それは、浅瀬も深みも同じ場所に存在するので、水生生物にとって好都合だからです。多様に生きられるのです。水路の中がどうなっているかは、今後水中カメラなどを使って確認する予定です。全貌を明らかにしてこの素晴らしい五百川峡谷を全国にアピールしたいと思っています。五百川峡谷はまさに朝日町の宝といえます。
取材 : 平成18年
佐藤 五郎(さとう ごろう)氏
山形大学教育学部卒業後、昭和44年(1969)米沢中央高等学校教諭着任、副校長を務める。最上川水系の水質調査を同校科学部で指導され、平成5年(1993)からは毎年ゴムボートで流下しながら水質や河川環境の調査を実施。現在は国土交通省最上川水系流域委員会委員、山形県環境アドバイザーなどの各種委員を兼ねている。著者多数。
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