ダリア日記
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ダリア(天竺牡丹)日記 Vol.246
「最新 ダーリヤ栽培法」 岩本熊吉編著 (大正13年5月20日発行)
序
二十年前の事を考えると夢のようだ。その頃ダーリヤを知っていたものが果たして何れだけあったろう、恐らく指を屈するに止まったであろう。そして今日はどうだろう、日本の津々浦々まで、恐らく山間の一つの家まで、ダーリヤを知らぬ者はあるまい。
ダーリヤの伝播力は実に凄ましいものであった、燎原の火の如く誰も之が前に立って防止することは出来なかった。これには様々の犠牲も払われただろう、様々な宣伝も預かって力があるだろう、けれども第一はダーリヤの本質その物がそれだけの価値があったからだ。ダーリヤが若しつまらぬものであったら、如何に宣伝しても如何に犠牲を払っても、それ等は悉く徒労で水泡に帰せねばならぬ。然らばその価値とはどんなものであろう。
第一に美麗だ、それから変化が多い。第二に花季が長い、恐らくこれほど長く咲きこれ程多くの花を呈供するものは他にあるまい。第三に培養が平易だ、一通り説明されたら誰にも花を咲かせ得らるるであろう。一口に言うとこの頃の流行言葉で即ち民衆的である。民衆的であるから、貴族も平民もなく、皆人が之に和同し之に傾倒するのである、乃に今日の隆盛を来した所以である。
以上はダーリヤそのものの方から言った事であるが、これを一般の草花の方から言って見ると、また思い半ばに過ぎる事がある。それは他でもない、目今夏向の切花として若しダーリヤを取り去ったらどうだろう、恐らく半分と言いたいが七八分は減らせられ淋しい世界となって了うであろう。即ちこの処にもダーリヤの繁昌を証拠立てている、同時にこれはダーリヤの実用を意味するものである。
こうしてダーリヤは最早全盛期に這入っているが、物盛んなれば衰うるのは理の当然であるから、我々この全盛に酔って踊っていてはならぬ。これはダーリヤに限らぬ事だが物には必ず先覚者と云うものがあって、普通人よりは一歩先に進んで道を切り拓いて行く。で、このダーリヤに全盛期に当たっても、そうした人が居てダーリヤの新しい道を開いて行かなければならぬ。この著書も大いにここに注目して居るらしい。ダーリヤに関しても従来少なからぬ著書があったが、一体著書と云うものは、原則としてその時々の必要に応じて筆を進めて居る、だから時経ると多少ずつその価値を減ずるのは止むを得ない事である。そしてこの著は大いに現時のダーリヤ界に必要があると思われる。即ちこの書の出て来る理由が十分あると思う、因って一言以ってその首めに序す。
日本ダーリヤ会常務幹事 北秀園主 野 口 秀
2010.06.15:
acocotori
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ダリアの歴史
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最新 ダーリヤ栽培法 ①
第一章 緒 論
ダーリヤ・・・・何と言う美しい花でしょう、何と言う艶やかな花でしょう。実にダーリヤは花の王とでも言えましょう。昔は牡丹を花の王と申しましたが、今やダーリヤがこれに代わりました。ダーリヤ栽培は益々盛んなる一方で、しかも一時の流行でなく今や実用時代になりました。何ゆえでしょう。
その原因は、第一に栽培が容易で菊などとは到底比較にならないことです。第二に花期が長く、六月から十一月まで咲き続けることです。第三に他花の絶え間となる九~十月にもダーリヤが咲くことです。第四にその花の大きなこと、菊花も及ばず、またその色彩の様々なること朝顔をも凌駕します。第五にダーリヤは単に観賞用のみならず、実業として野外花卉中最も利益あるものとなったことです。この五つの原因によって、ダーリヤは花卉園芸中、現在最も重要な地位を占めるに至りました。
ダーリヤは実益と趣味とを兼備する名花と言えます。特に日本の気候は世界で最もダーリヤに適し、日本に舶来した西洋草花の中で、その発展たるやダーリヤに勝るものはありません。今後、益々この利点を利用し日本の改良種を世界に紹介することが、これからのダーリヤ栽培家の任務だと信じます。
2010.06.16:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ③
第三章 ダーリヤの分類
ダーリヤは植物学上キク科に属し、その品種は現在数千種ありますがこれは後に記すとして、これを先ず二に大別して重弁(ダブル)と単弁(シングル)とに区別致します。次に花の大きさ、形状、及び色の配合によって更に小分し、更に各品種に細分致します。
重弁ダーリヤはカクタス、デコラチーブ、ピオニー、ショウ(コロッサル及びファンシーを含む)及びポンポンに分類します。
一、カクタス咲ダーリヤ(狂い咲)は、比較的最新の作出にして他の品種と全くその型を異にして花弁の縁辺はことごとく外に向かって反転し、現今最も賞美されるもので菊形の狂い咲きと称して居ります。カクタス咲は更に三つに分類します。
イ、内曲弁カクタス咲 溝形内曲弁を有す
この種は溝形にして重ね多く、弁は長く狭く内曲または撚曲し花弁の長さの半分以上の筒状弁を有す
ロ、直弁カクタス咲 溝形直弁を有す
ハ、中間カクタス(ハイブリットカクタス)
この種は広く真直のやや溝形にして尖りたる花弁を有し、重ね充分にして花弁の長さの半分より短き筒状弁を有す
ニ、デコラチーブ咲(菊咲)は、大にして扁たく中心まで充実して花心を現わさず、花弁は長く広く扁たく殆ど真直にして基脚部は筒状をなす。
三、ピオニー咲(芍薬咲)ダーリヤは、新型にして重ね少なく花心を現わし、筒状をなさず内弁は撚曲し外弁は扁平にして極めて雄大である。なお総じて茎丈が長い。このうち内弁の撚曲しない種類をダフレフクスと称して区別することがあります。
四、ショウ咲(大毬咲)は、重弁大輪にして筒状の花弁が集まり球形をなし、花心を現わさず花弁は正しく配列し、一花一色または花弁先端が基脚より濃厚なるものを言い、なお、花弁の基脚が先端よりも濃いもの、または絞りとなるものをファンシー咲と称し、またその絶大なるものをコロッサルと称することがあります。
五、ポンポン咲(毬咲)は、ショウ咲と同型なれどもただその形が小さく、花径二寸以内のもの、そして多種よりも矮性にして枝打ち多く花付きが多い。小さく円く細弁の整ったものが良い。
単弁ダーリヤは普通単弁(シングル)、コラレット及びアネモネ咲の三つです。
六、シングルは、一重のあっさりした花で大抵は八弁で、反曲せず大小も様々です。大形種はセンチュリーと称し、極端な矮性種はミグノン、星形種をスター、バラ形種をロセットと称されています。
七、コラレット咲は、シングルですが花心の周囲に花弁と同数の小弁(カラーと称す)を持ち、この小弁は花弁と色彩が違うものと同色のものがあります。
八、アネモネ咲は花心が小さき筒状弁を盛って居ります。
また、ダーリヤを実用的に分類し次の様にする事があります。これは米国の最新分類法です。
一、花壇用ダーリヤ
単に花壇の美観を呈するもので切花や飾り花に適さないもの、花の集団性が主たる要求である。各個の花の完全さよりも花を沢山付ける事が注目される。
ニ、切花用ダーリヤ
花を沢山付けること。しかし、その色彩茎の長さ及び形状に注目する。
三、飾り花ダーリヤ
各花の発達と美麗さが注目される。しかし、集団性は必要ではない。
四、品評会用ダーリヤ
それ自身花に属する全ての点に注目される。多花性または稀に茎も考慮される。
各分類の来歴を少し述べれば、カクタス咲は英国に於いて改良されたもので、英国種とも言われています。その極細弁にして或いは内曲しまたは撚曲し、色彩の美と形状の大きさと加え、非常に優美に出来上がり、ダーリヤの中では上品なものと言えましょう。しかしながら、この種は首が弱いと言う欠点が伴います。また、ダーリヤの葉が花の上品に伴わないことがあり、また、香気の悪しき等、改良の点がなお横たわっています。
ピオニー咲もまた比較的最新のダーリヤです。来歴を述べるもまたダーリヤ愛好家は興味を深くするでしょう。カクタスは大繁栄しましたが、その首が弱くて品評会用だけに供せられる事を嘆き、シングルダーリヤを改良しこれに優美な色彩と形状を与え、花壇用と切花用を兼備させると言う事が企図されました。この目的の為にシングルダーリヤを使いカクタスまたは他のダーリヤに媒助し、そしてピオニー咲ダーリヤが出来上がりました。この長い花梗の半重弁のダーリヤはオランダで作られ、そして極大半重弁ダーリヤとして世界に売り出されました。これはバーンの蘭栽培家エッチ、ホーンスベルド氏の名誉にほかならず、彼は苦心すること七年、千九百四年七月にクインウイルヘルミナ、ヂュークヘンリー、バロンジーデグランセ及びグロリーオブバーンの四種をオランダ園芸協会の品評会に出品し一等賞を得ました。更にドイツの世界博覧会に出品し最高賞を得ました。園芸界はその巨大で美術的な形状、強き花梗、美麗なる色彩に魅せられました。リバプールのケル氏は叫びました「ホーンスベルドのダーリヤは博覧会の誇りであると」。これがドイツを経由してフランスに入り、やはり金牌を得ることになります。アムステルダム、ロンドン、ブリュッセル、その他に於いても同様に賞賛されました。この成功の後、彼は更に新種類の作出に努め、そしてその切花用と花壇装飾用との二大価値は世界に認められました。その後、英米に於いてもダーリヤ専門家により多くの種類を作出しましたが、最高の名誉はオランダに帰せなければなりません。
デコラチーブは千八百三~四十年頃にドイツで単弁花より出たとの記録がありますが、その後、ショー咲より生まれたのが多いらしく、切花としては一等であります。花壇に於いてもその頑丈なる茎と厚き暗録の葉とは素人栽培にも失敗がありません。切花として強硬なる長き真直の茎はこれに及ぶものは無く、品評会用としてもデコラチーブは巨大なることに於いてこれに及ぶものがありません。なおデコラチーブは欧州では余り貴ばれませんが米国に於いて特に貴ばれています。
ポンポン咲は千八百四~五十年の頃ドイツで出来たと称せられています。
コラレット咲はフランスの改良種であり、これは千八百九十九年リオンの公園にて発見され、ダーリヤ展覧会に出品されその愛らしき形状により賞賛を博しました。
日本は天与のダーリヤ適地と称せられています。日本のダーリヤ専門家はいたずらに他国のタイプを追わず、新たなタイプのダーリヤを作出するのでなければ到底世界に誇ることは出来ません。日本では従来、一般にカクタス、デコラチーブ、ピオニー等の美大な種類が貴ばれ、その中でもカクタスは最も優勢で人気がありますけれども東京地方のいわゆる玄人で、地方ではピオニーやデコラチーブを喜ぶ傾向があります。しかしながらコラレット、ポンポン、シングルも品評会には不向きですが、一輪挿しやデコレーションとしては中々趣味があります。将来は首の強き切花向きの実用的ダーリヤ及び趣味のある小ダーリヤも徐々に勢力を得るものと信じます。
2010.07.08:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ④
第四章 ダーリヤの気候
ダーリヤ栽培にはどれほどの温度が必要かは未だ確かなる事は言えませんが、温帯産の花卉であることから、東京付近では春期は降霜の止むのを待って植え付け、秋期は降霜後に掘り取り球根を貯蔵します。北海道では冬期の球根貯蔵が非常に困難だと言えます。四国・九州地方の暖地では冬期に掘り上げなくても越冬致します。
日本はダーリヤについて天恵国だと言われています。何故ならば夏期長くて、かつ湿潤であり、また年に二度ダーリヤの盛期を有しています。英国等では年一回であります。従って日本では年二回品評会開催が可能であり事実やりつつあります。また、その年に播種したるものが、その年に直ちに花を見る事が出来など、天恵を有する日本のダーリヤ家は幸いであると言わざるを得ません。なおこの点についてはダーリヤ実生の項で述べることにします。
ダーリヤは大抵の場所で栽培が可能ですが、特に日当たり良い所を好みます。また、高地、低地、平地、傾斜地でも可能でが、余り海岸の潮風が当たる場所は好まない様です。それからダーリヤは北向きの地でも相当の花を咲かせます、ただ木陰や軒下や全くの陰地では適しません。
2010.07.26:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑤
第五章 ダーリヤの土質
ダーリヤは殆ど全ての土質で生育出来ます。砂地、礫土、壌土、粘土でも、また低地、高地など何処でも出来ます。しかしながら土地により生長と開花に多少の違いがあります。例えば、砂地や礫土では短きしっかりとしたる緻密なる茎を生じ、重粘土や低地では丈が高くなり、砂地よりも一週間程度は開花が遅くなる等の違いが生まれます。適地は砂質壌土、小石交じりの高地、または傾斜地であり、排水良き肥沃な土は最も適していますが、痩せ地でも肥料を施せば支障ありません。
もし、強い重粘土なれば石炭灰または砂にて軽くしなければなりません。石炭灰を地上に敷き一尺~一尺五寸位深く土地を耕します。また、極端な砂地なれば粘土を入れて重くします。普通の土壌なれば八寸ないし一尺を耕せば充分であり、早春または出来れば寒中に耕して置きます。そして植える時に再耕すればこれに越した事はありません。
2010.08.13:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑥
第六章 ダーリヤの肥料
ダーリヤは球根に栄養分があり肥料をやらなくても花は咲きます。しかし良く咲かせるには施肥は必要であり、特に切花を沢山採るには充分の肥料を要します。勿論、基肥は充分施さなければなりせん。なお、花の美大および多少は肥料によるところが多く、特に品評会等に出品して賞与を得るには肥料を充分与え、手入れを徹底しなければ成功は望めません。
ダーリヤの肥料は、如何なる成分をどの様な割合に施すかは良く知られていませんが、窒素、燐酸、加里を配合よく施すことに相違ありません。言うまでも無く窒素成分が不足すれば生長が思わしくなく、燐酸、加里が不足すると茎が弱くなります。また、肥料には速効と遅効とがあります。遅効のものは効力の遅き代わりにいつまでも効き、速効のものは効力の速き代わりに直ぐに効かなくなります。肥料のやり方はこの効力と三成分の配合をよく考慮します。肥料の分量ですが、ダーリヤは随分多量の肥料を与えても問題が無く、多ければ良く生長すると言って良い程です。
馬糞、牛糞、堆肥などは三成分を兼備して遅効性でありますから、基肥として充分施します。しかし成分は極薄き物であることから、他の濃き肥料を混合して施します。鶏糞や米糠、菜種油粕などは窒素と燐酸に富んでいます。木灰、藁灰などは加里質に富み、これらを適当に施すのです。それから補肥としては人糞尿や人造肥料が適当しています。東京地方では、基肥として馬糞または乾燥牛糞あるいは堆肥などを米糠、人糞、藁灰を交えて基肥とします。米糠の代わりに鶏糞を用いても宜しい。それから人糞またはアンモニアを交えればなお宜しい。特にダーリヤを毎年同じ所に栽培するときは、病菌が出来て腐敗病が発生します。これを予防するには燐酸及び藁灰を与える必要があります。
それからダーリヤは強風を受けると折られ易く、その為にはなるべく茎を丈夫にする事が求められます。この為には燐酸や加里を施す必要があります。それからダーリヤにはニ~三回補肥を施しますが、これには大抵人糞を用います。しかし人造配合肥料を用いても支障ありません。
木灰や石灰を肥料に加えて施すことは地中の昆虫や病菌を駆除、予防する為に必要なる作業です。
(注:肥料については現在の使用方法と大きな違いがあります)
2010.08.31:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑦
第七章 ダーリヤの植付法
ダーリヤの開花期は、植え付けてから早いもので四十日、遅いもので六十日ほどです。よって種類によって時期を加減し、降霜の恐れが無くなったら外に植え出します。
球根を植えるには大抵五寸位の深さに植えますが、もっとも球の大小によって加減する必要があります。また土質によって加減する必要があり、大抵球根の太さの二倍半の深さを標準として植えます。また砂地は粘土地よりも深く植え、芽を上にして横に植えます。東京に於いては四月中旬~五月上旬が適期となります。寒国ではこれより遅く、暖地ではこれより早くなります。また早咲きのものより順次に植えます。勿論植える前に充分耕作して肥料を施します。なお、肥料はなるべく二週間前に施すと良い結果が得られますが、植付ける直前でも差し支えありません。その際、肥料の上に土を覆う方が安全で、肥料と球根を接触させると往々に腐敗することがあります。植え終わればその上に土を覆い、そして植付けと同時に支柱を立てます。後から立てるとダーリヤの芽を傷つける恐れがあるからです。支柱は大抵竹を用い、太さがニ~三寸で長さは四、五尺のものを使います。
植付け間隔は栽培の目的によって異なりますが、少ない場合は一反歩三百本、多い場合は千八百本程を植えます。鑑賞目的には球数を少なくし完全に育てますが、実用目的には密植してなるべく開花を多くするのです。六尺に六尺で三百本、三尺に三尺で千二百本、三尺に四尺で九百本です。五尺の畝を作り二列としてニ尺五寸の距離に植えると千七百二十本となります。
植付けと同時に煙草の粉を周囲に散布することがあります。これはダーリヤのネキリムシを防ぐ目的ですが、これは米国で用いている方法で果たして効力あるかは保障出来ません。
ダーリヤの植付け方式には三通りあります。
その第一は、棒立て法と言い最も多く用いられる方法で前記の方式はこの方式です。
第二は分枝法と言い、多くの専門家・玄人によって用いられています。一尺五寸からニ尺五寸の距離に植付け、二節の葉が生じた時に頭部を摘出し、各葉の基部より枝を作ります。即ち四枝を作るこの方法は、開花に於いて二週間程遅くなります。同時に四本の棒を立て生育させ、同時に四個の花を着け、逆に前者より多くの花を付ける事になります。茎の生長する時、花茎の四枝が地上一~二寸の所から分岐する短き強き茎を持つことになります。そしてこの植物は短く小奇麗にして各枝は相互いに自ら支え、風に堪える力も強くなります。
第三は集合法と称し棒を用いません。この方法は大農園に於いて労力と竹棒を省略する方法で、各自互いに集団となり保持しますが美観は保てません。この方法には、一尺か一尺五寸の距離に植えて互いに保持する様にします。
2010.10.01:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑧
第八章 植付後の手入法
植付け後、アブラムシが付くことがあります。この駆除には除虫菊石鹸水または煙草粉末を散布する事が最も効力があります。
大きく完全なる花を作るには、最も良く大きな花蕾を残してその他を全て除去します。花蕾が出たならその先端(天花)の一個を残し脇芽を除去すると、雄大で美麗な花が咲きます。現在、ダーリヤ切花用栽培家は全てこの方法を用います。この脇芽を適当な数だけ除去し、適当な二つの芽を残し予備芽として残存することもありまが、頂芽の花梗は短く、また脇芽はいたずらに生長し、茎が高くなり管理が困難になります。
開花後に花を切り取ると底部の両芽が発芽して次の花枝となりますが、それだけ生長に多くの養分を要するため、補肥に注意しなければなりません。特に品評会用のダーリヤを栽培するには、一つの花蕾の外は全ての花蕾を除去し、そして肥料の力によって絶大美麗の花を得ることになります。
なお、花が連続して開花しやや小さくなった時が、補肥を与える最良の時期であります。しかし、この時期を知ることは多少の経験が必要ですので、初心者は水肥を度々与えることが安全です。
2010.10.21:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑨
第九章 生長の促進法
品評会に出品する為に最上の花を作る為には、三尺ないし五尺の距離に植え、充分な肥料を与え時々耕作し、適当に補肥を与え(下部の両方または順次に一方を掘る)そして芽掻きをしなければなりません。硝酸ソーダ即ち智利硝石はこの生長の促進として最も有効な肥料です。施用には芽の時に水に溶きまたは粉末で与えます。決して一時に多量を与えられず、多く与えると肥料負けを起こします。あるいは徒長して球根が冬期間に腐敗致します。水に溶解する時は一さじを二升の水に溶解する程度と致します。
花蕾が現れたら中心の一芽を残して除去します。そして、開花後は決して雨に当ててなりませんし、また日焼けさせてはなりません。品評会用の切花とするには、夜遅く露の降りたる際に切り、水中に挿し、出来るだけ冷所に於かなければなりません。
(注・肥料などは現在使われていなものあります)
2010.10.28:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑩
第十章 夏の手入法
日本ではダーリヤの最盛期が二回あります。第一期は六月より七月まで、第二期は九月より十一月です。七月下旬より八月中は日光が強くダーリヤ本来の色彩を現すことが出来ません。また切花としても花持ちが悪く、まったく商用に適さず、従って価格も非常に廉価となります。通常の手入れでは行いませんが、この七月下旬から八月上旬までに各枝基部の両芽を残して、切り戻しすることがあります。この時に補肥を与えると二百十日頃の暴風雨に対し、その害を少なくすることが出来るだけでなく、新たな勢力を以って九月下旬から降霜期まで連続開花し、秋の容色を眺めることが可能となり、また切花等では利益を得ることが可能となります。実際、日本に於いては十月をダーリヤの季節と致します。この頃には、夏花は夏の炎熱の為にその容色を失い、そして秋の菊花は未だ開花せず、実に強壮なるダーリヤの一人舞台です。
第十一章 切花の保存法
豊肥の花は比較的長く保存することが出来ます。もし萎縮した花もしくは余り芳しく無ければ、次の方法を行うと回復が可能となります。
花を出来るだけ早朝に切り、出来るだけ熱き湯を桶に入れ、茎の根元をこれに五分ほど浸し(決して葉を浸してはなりません)、後に冷水中に浸します。なお冷水は、六合の水に食塩の茶さじ四分の一杯を入れた時に一番成績が良く、もし茎が非常に堅い時は沸騰点に近い水を用いるが宜しい
2010.11.16:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑪
第十二章 塊根の収穫法
霜が降りますとたちまちにしてダーリヤはその茎葉共に枯死します。枯死したならば速やかに掘り取らなければなりません。霜が一旦降りるや否や茎の力は塊根に移り、数日後には塊根が冬眠状態となり、一つの芽も有せず越冬の準備を致します。
ダーリヤの掘り取りにはショベルなり鍬なりを使いますが、非常な注意を要します。一つの塊根には一つの頸を有していて、この頸が茎と連結して居ります。この頸を破損してはいけません。もしこの頸を破損したならば球根は全く役に立ちません。
掘り上げたならば、株から二~三寸上を切り取り、一~二時間日光と空気に晒しますが、決して二~三日も捨て置いてはいけません。この衰弱が発芽力を減損するかは非常なものがあります。そして温度が急変せず、涼しく霜を防ぐことが可能な場所に取り入れます。その温度は約四十五度(華氏)を持って適当と致します。
いかなる物で被い、またいかなる物で包んでもいけません。コルク、おがくず、かんなくず、石炭灰、砂または土等、全ての保護物は塊根に湿気を与え、腐敗の原因となります。
また塊根を貯蔵するには上部を下にして貯蔵してはいけません。茎の基部はへこみ、このへこみに水分と酸が溜まり、この酸がクラウンを害して腐敗の原因となります。故に塊根は上部を下にして箱または樽の上に積み重ねて、一つの被いをも用いずに穴蔵に貯蔵することが安全第一の方法です。穴蔵はセメントの底と致します。
なお、箱または樽の内部に厚紙を敷き、球根を入れ上より紙または麻布で被います。この紙または麻布は内部に空気を保ち、また熱を保ちます。暖められたる所では空気と熱との循環は球根を乾燥萎縮せしめますが、この被いはこの萎縮を防ぎます。
2010.11.16:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑫
第十三章 ダーリヤの名花
(以下省略)
第十四章 ダーリヤ繁殖法
第一節 分 根
ダーリヤの繁殖法には分根、挿し芽、接ぎ芽、播種の四方法があります。分根から述べましょう。
ダーリヤの根はその一株を塊根と言い、それを切り放して一つ一つを球根と言います。ダーリヤの一株、即ち塊根には沢山の球根を有しますが、各球根は甘藷やじゃがいもの様に各所から芽を生ずるもので無く、茎に接したる首の所より外に芽がないため分根には充分な注意が必要です。
ダーリヤは冬期間塊根の形で貯蔵し、春期発芽を催したる時に分根を始めます。分根には鋭利なナイフを用いて初めに塊根を二分し、次に一球ずつに分球します。
球根の大きさはどんなものが良いかと言えば、先ず夏に作られた中球が一番良いでしょう。ダーリヤの塊根は大抵六~七月と九~十月の二回に成熟します。しかし、球根の大きさによって花の大きさや性質には関係しません。ある種類は非常に小さい塊根を生じ、またある種類は非常に大球を生ずる。小球だから悪いとは言えず、多くの場合は大球よりも結果の良い場合が多いものです。中小球はしばしば最も美しき最高級の花を咲かせます。球根に求められることは必ず強壮な一~二芽を有する事であります。塊根でも鉢植え根でも挿し芽でも時としては、種子でもその結果は同じであります。それは大きさではなく注意深い手入れであり、特に栽培管理法はダーリヤ栽培の最も重要な点です。
時として親根に沢山の芽が付く事がありますが、決して親根を植えてはいけません。親根を植えても中途で衰えて決して成功しません。なお親根の芽は挿し芽に用いることが可能です。
第二節 挿し芽と接ぎ芽
全て新しいものは勢力があると言うのが生物一般の原則です。故に古根よりも新根が良く、新根よりも挿し芽が良く、挿し芽よりも実生が良いと言う様な訳です。この意義に於いて挿し芽は最も重要な地位を占めるのです。
挿し芽には二つの方法あります「切り挿し」と「掻き挿し」です。掻き挿しは一球(あるいは株)に二個以上の芽を持ったものや古球に沢山の芽を持った場合、その芽が二寸位になり葉がまだ広がらない時に、根の方から掻き取りそのまま挿す方法です。平鉢を用い土は塵芥の荒篩いが良い。その荒い土を鉢に入れて前の掻き芽を挿して置く、そして構わずに日向に出して置き、時々土が乾かぬ程度に水をやると日暖たりで早く発根します。発根したら別の鉢に植え付けて水肥をやり生育させます。五~六寸伸びた時に花壇に植え込むと、球根で植えた場合と余り変らない日数で花を咲かせます。
切り挿しはダーリヤ栽培にとって最も重要であります。ダーリヤの繁殖は大抵切り挿しによって行い、また植え込みの際も玄人仲間では大抵は切り挿し苗を用いています。切り挿しで繁殖する際にはなるべく小玉球を使います。特に前年五~六月に鉢に挿した小玉を選びます。大玉はどうしても芽が太くなり挿し芽に不適当であるからです。
日本には英国より毎年何種類と新種が輸入されますが、この新種はもちろん挿し芽球です。英国では繁殖には全て挿し芽を用い、その挿し芽も前年のポット球を用いて挿し芽を作ります。そして百本で幾らと言う相場が立つそうです。この新種は大抵十月から十一月に日本に到着し、到着すると直ちに繁殖に取り掛かり先ず四寸鉢位に植え込みます。十二月頃には芽が伸びて、三節位になった時に一節を残して切り取ります。一節も残さず切り取っても支障がありませんが大事を取って一節だけを残して切り取ります。その後、下から芽が出ますが先ず切り残した二節から出た芽は切り取ってしまって挿します。これで年内に三本の芽はもう穂を取っても良い位に伸長し、同時に元球から出た脇芽の二~三球も一節残して切られる様になり、かくして三月頃までには一球から五十本以上の挿し芽が得られます。しかし三月では未だ季候が早過ぎて植え出すには適当にしませんので、穂先を切って休ませて置き、四月に入ってから大きな鉢に移し肥料を与えて生長させます。
挿し木をそのまま生長させるには三月初旬頃からが宜しい。発根したら直ちに小鉢に取り、硝子に近い日の当たる所に置きます。鉢に根が一杯になったらこれより大鉢に肥料土で植え換えます。かくして六~七寸の鉢に順次に植え換え、四月中旬になったら花壇に移すのです。注意点は鉢の根が一杯になってもほって置くと、茎がいじけてしまうことです。一旦いじけるといくら肥料をやってもその部分だけは太らず、従って良き花を開きません。
以上は温室でありますが、床挿しをするには箱を作って下に石炭殻を入れ上に川砂を充たし、または一寸位の小鉢に砂を盛り床に入れます。この場合には床は石炭殻のみで宜しく、別に粘土を切口につける必要はありません。そして竈の上に置くのです。上はよしずなどを蔽って置くと早いものは一週間程で発根します。なお、生育が進み茎に穴のある芽は活着し難くなります。また、切る所は節の下三~四分の所が発根し易くなります。余り下が長いと節が土上に現れ球にクラウンが出来ません。
四月以後は温室には入れませんがフレームなどを用います。フレームが無ければ底無しの箱を使います。天気の日には上によしず掛け、遮光し小鉢は直ちに地上に置きます。雨に打たれない様にしなければなりません。四~五月頃が最も活着が良く、この時に用いる土は砂よりも肥料分あるごみ土が良く、六~七月には川砂が良い。なお七~八月は暑くて活着が悪いので、なるべく林の様な冷涼な所に置きます。九月から十月にかけてはまた活着し易くなり、十月挿しは花が咲かないけれども根に子玉が出来るので来年の植え玉に使用できます。
ダーリヤは接ぎ芽が出来ます。しかし挿し芽で充分なために接ぎ芽は余り用いません。しかし特別の場合用いる事があります。特別の場合とは種木の非常に少ない場合です。巧みな者はダーリヤの一芽あればこれから接ぎ芽によって繁殖します。方法は球根に接ぐのであり、球根の皮を剥いで芽を球根に直接付着させるために実に良く付きます。そしてこれを発芽生長させ、更に挿し芽を得る材料にするのです。なお、挿し芽を取ればこの接木の球根は役に立たないので棄てます。
第三節 実生新種
日本の気候はダーリヤに適していますから、実生による新種作りは実に面白いものがあります。日本では二度採種が可能です(暖地)。第一回は六月末からの採種です。この種子を播いて更に十一月に開花した例もあるようです。これは日本が実に天与の地で他国では見られないと言うことであり、英国辺で二年掛かる品種改良を日本では一年で行なうことも可能と言えます。
しかし、何と言っても種子は秋になり一番出来易くなります。十月初めから十一月の降霜前の花が一番良く、薄い霜では余り影響しませんが、強い霜に当てると種子は出来ませんので、霜の心配のある時は軸を長く付け切り取り、逆さに懸垂して置くと種子が後熟します。
ダーリヤの新種を作るには人工で理想的な媒助法を行うか、または媒助すべき両母本を隔離栽培して自然雑交を行うか、または沢山の種子を適宜に播いて沢山の実生の中から変種を発見するかです。しかしながら理想的な媒助法は容易ではありません。外国の新種でも後から推定的に母本の種類を定める事が往々あります。日本の実生は概して首が強く。外国の首の弱き種類も日本で栽培すると幾分か首が強くなります。これも日本の天恵の一つとでも言えましょう。
明治四十四年の品評会に二つの実生が出て一等に入賞しました。一つは「国民」と名付けられ、今一つは「エビス」と名付けられました。「国民」はカクタスで鮭色に桃色を加味した優秀なものでありました。「エビス」はデコラチーブで純緋紅の大輪でありました。大正元年には別に新種が出ませんでしたが、大正二年になると実生新種が非常な勢いで出現しました。国民勧業部から出た「新高(カクタス、白色)」と「嵐山(カクタス、海老色)」が一等となり、二等にも多くの品種が上りました。今なお貴ばれている「陽明」はこの時の二等でした。それから徐々に品評会へ新種が出品され「半蔀」、「長春」、「北秀」、「黒鳳」、「漣・さざなみ」、「夢の跡」、「高御座・たかみくら」等の名花が出現しました。なお、その中から二~三の系統を記して見ます。
陽明(ようめい) 父・ガスターブドーゾン 母・キングエドワード
半蔀(はしとみ) 父・不明 母・ドロシーハウス
北秀(ほくしゅう) 父・ジャイガンチック 母・ピヤロット
長春(ちょうしゅん) ワイヤットの子らしい
秋光(しゅうこう) ハーリークラブトリー
天寵(てんちょう) 陽明
涼秋(りょうしゅう) ピヤロット
(以下省略)
2010.11.24:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑬
第十五章 ダーリヤの切花向栽培法
切花としてダーリヤを栽培し成功している者、また失敗している者があります。成功や失敗にはそれぞれの原因が考えられます。以下、切花向きのダーリヤ栽培法について述べることとします。
切花栽培には品種を限定しなくてはなりません。種々雑多の種類を作っていっては経営が成り立ちません。それではいかなる種類を作れば良いのでしょう。先ず、花色の美麗なこと、花の大きなこと(ポンポン、コラレット等にあっては花の愛らしきこと)、花首の強いこと、性質が頑丈なこと、多花性なこと、これらの条件を備えねばなりません。いたずらに品評会向きの不経済的なダーリヤを切花向きとして作っても利益になりません。
花色は赤・白・黄・桃・絞り・二色・雅色の七通りとします。赤・白・桃を最も多くし雅色を最も少なくする。特別の場合、白ばかり栽培している者もありますが、普通は赤・白・桃の三者を多く植えます。なお、球根代が安いからとてつまらぬ種類のみ植えてはなりません。段々買い手の眼が肥えてつまらぬ花では需要が少なくなりました。
今、左に切花用として代表的の花を掲げることとします。
(以下中略)
切花として栽培するには、球根販売と混合してはなりません。球根販売を主にすれば切り花は第二となり、切花を主とすれば球根は第二となります。どちらかを主目的として貫徹し一方を犠牲にしなければなりません。そうでなくては両者共成功しません。
また、切花として成功するには、地代の廉価な所でなくてはならず、地代が高くては到底算盤の持てるものではありません。そして、交通の便利な所で無くてはなりません。少なくても自転車で配達が出来て、または花屋から買出しに来られる場所で無くてはなりません。そして、なるべく同業者が近隣に在る方が良い。ただし大規模に栽培するならば同業者が無くても支障がありません。
一反歩に植え付けるべき本数の多少が切花栽培には大きな関係があります。疎ら過ぎるよりは密に植えた方が宜しく、重要なことは一株を立派に作るのでは無く、一定面積より多数の花をかつ早く収穫する事にあります。早期の収穫には早く植え付けることはもとより、本数を多く植えなければなりません。これは一株より分枝する本数が無限では無いからです。また種類によって分枝の少ないものもあり、株数によって補わなければなりません。ある栽培家は一反歩千八百株を植え込み、ある栽培家は一ヶ所に二球ずつを少し隔てて植えることがありますが、いずれも株数を多くすることを目指した方法です。また、肥料は充分施し生長を促進させなければなりません。栄養不足あっては決して成功しません。
早期出荷には、温室又はフレームを用いて発芽させる場合があり、降霜期が過ぎたならば圃場に植え出します。また、早出しの為に冬期間株を掘り上げず、畑などに据え置きにする人もあります。充分に土を掛けて置けば成功しますが、秋花の頃には樹勢が衰弱し思ったような収穫が望めないようです。また種玉を損失する可能性が高まりますので、やはり球根の植込みは一年限りとし、二年以上引き続き同一の株を据え置くことはやめましょう。
切花栽培を行うには市場と連携・連絡を取らなければなりません。切り花は生物であることから、いたずらに沢山作っても売れなければ何もならないからです。さて、ダーリヤ栽培ではどれだけの利益を挙げ得るものでしょうか。これはその土地の状況により一概には言えませんが、東京などは今やダーリヤ需要が盛んになり、立派に切花専門栽培が可能となりました。東京地方を例に取り上げ、標準として計算してみますと次の様になります。
ダーリヤの切花相場は卸売で二銭を標準とします。もっとも六月中旬になれば八銭から十銭、七月盆前は五銭位なります。反面、八月には一銭位、九月~十月には二銭より三銭位となります。しかし平均一銭五厘として計算しましょう。また、一株より得られる本数は土質、肥料、手入れ、植付け本数、風害、虫害の大小によって違い、またダーリヤの種類によっても違いますが、初め四枝を出し、次に十六枝を出し、更に三十二枚を出すと言う計算があるものの、この計算通りには行きませんから、一株二十本として計算しましょう。
一反歩 千七百株 一株 二十枚
この切花数 三万四千本 この代価 五百二千円(一本一銭五厘として)
この外球根の利益は、一株三球を得るとし五千百球、この内千七百球は自家用とし、販売用三千四百球を一球五銭、百四十円となりますから、切花代を合計し六百六十円となります。最大で一反歩千円の利益を挙げることが可能です。 (※大正十二年の価格価値は現在の千五百~二千分の一)
2010.11.30:tenjiku-b:
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最新 ダーリヤ栽培法 ⑭
第十六章 ダーリヤの害敵
ダーリヤの害敵は、虫害、病害、風害及び寒害です。
第一に虫害。ダーリヤの虫害は比較的少なく、小さな時に「アブラムシ」の害を受けることがあります。特に温室やフレームでは往々あり、駆除には除虫菊石鹸合剤または煙草粉末が宜しい。また、球根を「ハリガネムシ」に食われる事があります。これは肥料中に木灰石灰等を混合するより方法がありません。また、幼芽を「ヨトウムシ」に切られる事がありますが、これには予防法はありません。もし新芽の被害を発見したならば、直ちに近傍を探すと土中に潜伏していることがあり、見つけ次第に捕殺します。花軸または花蕾を「ズイムシ」が食害しますが、これは年により大害を来たすので見つけ次第駆除しないと漸次繁殖し伝播します。また、花を「コガネムシ」に食われますが、殊に白や桃色の花を好んで食べます。これも手数が掛かりますけが、毎朝露のある間に捕獲しなければなりません。容器に石油を入れて捕獲したものを投入して殺します。温室内では嫩(どん)葉に「アカダニ」が付いて困ることがありますが、殺虫液を塗布して防除します。
病害としては「腐敗病」があります。これは湿地や古地に多い病気で一度出ると次々に繁殖します。予防には木灰石灰を施すより未だ解決策がありません。この病気は球根にあっては「腐敗病」、茎葉にあっては「立枯病」と言います。なお、ダーリヤは新しい土地を好む傾向がありますので、栽培地の移動は病気の予防にも効果的です。
ダーリヤにとって台風などの風害が最も甚大です。この為に支柱を堅固にして根本の動かぬ様に充分縛り付けなくてはなりません。多くの場合、風は東南よりの西風となりますが、これを予防する事は出来ません。被害を軽減する方法として、茎を丈夫に作ること・茎を短く作ること・夏期枝を切る込むこと・風の方向に垣根を作る事などが行われています。
寒害は霜害と凍害であり、余り早く球根を植え付けると新芽を霜の為に枯死させられ、却って生長が遅れることになります。また、秋期に一旦降霜すればたちまち葉が枯死致しますが、これは致し方がありません。なお、東京地方では当期間球根を地下一尺以下に埋め置かなければ凍害に罹る様です。
最新ダーリヤ栽培法 終
2010.12.13:tenjiku-b:
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